つい一年前まで、
僕はオーストラリアに3年間住んでいた。
中学校生活はまるまる海外に捧げていたから、
日本の文化なんて全く覚えていなかった。
そんな高校1年生の初日、
僕を助けてくれたのは同じく帰国子女だったあなたちゃんだった。
こういう行事が女子とは違う意味で好きなのが男子。
でもオーストラリアでは、
男の子から女の子に告白したり、
感謝を伝えるのが一般的だった。
僕たちにしかわからないこと。
それを共有するのが少し楽しかったりする。
僕たちだけの大切な時間。
わかってるよ、きみの好物。
一年かけて探ったんだもん。
キャラメルにいちごが好きで、
ビター系の苦いのはあまり好きじゃなくて、
ミルクみたいなありきたりなものも
あまり好きじゃないみたい。
だから僕は、これに決めた。
放課後はいつも教室で3人でゲームをするのが
当たり前になっていたけど、
今日だけは、早く学校を出たい用事があるんだ。
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2月14日
バレンタイン当日
日本には変な文化があるもんだな〜
なんて思いながら、あなたちゃんが来るのを待つ。
他人から見ても、僕は緊張してるように見えるんだ…。
でもみんなは知らないでしょ、
僕は今日、あなたちゃんにあの箱と一緒に告白するんだから。
はあぁ…緊張する。
あなたちゃんもそうだけど、
僕が急に英語で話し始めたから、
クラス中がこっちを見てる…
ねえ、聞いた?!
Me too だって…
ちょっと信じられないかも…。
教室のド真ん中、
あなたちゃんがモテモテで超人気者だったのもあって、
進級するまで噂やお祝いムードから脱せなかった。
開けてみると、
可愛らしい小包みに包まれたブレスレットが…。
まだまだ日本のことは全然わからないけど、
あなたちゃんと一緒なら、日本も悪くないね。
ブレスレット…感謝、愛情
1日遅れのバレンタイン💌













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!