本当は。あなたが希望ヶ峰学園に入学しても、
ずっと傍で話していたかったよ。
たまに門で待ち合わせしたりして
一緒に帰ったりとか……
あなたが許してくれるかどうかはわからないけれど、
私はそういうのも、したいなと思ってた。
いつなら区切りがいいか、考えたの。
本当はあなたが幸せになるのを見届けて死にたかった。
でもきっとそれはできないから。
いつなら諦めて、離れれるか考えたの。
狛枝凪斗が、希望ヶ峰学園に入学するとき。
あなたは新しい人間関係を構築するし、
私なんか。いなくなっても変わらないだろうから。
私。あなたと。狛枝くんとさ。
もっと遊びに行きたかったよ。もっと笑いたかった。
カラオケとか。また映画でもいいし、遊園地とか……
世界がぐちゃぐちゃになる前に遊び尽くしたかった。
水族館とか、動物園とか、博物館とか、美術館とか、
公園だっていい。どこだってよかった。私はあなたの、
……あなたの、
#68「あなたの未来になりたかった」
◇
笑いながら帰り道を歩く。
最近はこうして、二人で帰ることが習慣になっていた。
もうじき作れなくなる思い出を
急いで埋めてるみたいに。
彼は呆れたようにため息をつく。
そうは言いつつも彼は私の言葉を大体無視するので、
今回もいつも通り触れられず話し続ける。
私の対応に一々ドン引きされなくなってしまった。
それに嬉しいと思うのは、間違っているだろうか。
最後だから。とは、言えなかった。
私は思わず苦笑する。狛枝凪斗だ。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!