第70話

#68「あなたの未来になりたかった」
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2026/08/18 15:00 更新


  本当は。あなたが希望ヶ峰学園に入学しても、
ずっと傍で話していたかったよ。

たまに門で待ち合わせしたりして
一緒に帰ったりとか……
あなたが許してくれるかどうかはわからないけれど、
私はそういうのも、したいなと思ってた。

あなた
( でも )


いつなら区切りがいいか、考えたの。
本当はあなたが幸せになるのを見届けて死にたかった。
でもきっとそれはできないから。
いつなら諦めて、離れれるか考えたの。

あなた
( そう考えてみたら )
あなた
( 今しかないでしょ )


狛枝凪斗が、希望ヶ峰学園に入学するとき。
あなたは新しい人間関係を構築するし、
私なんか。いなくなっても変わらないだろうから。

あなた
( ほんとは )


私。あなたと。狛枝くんとさ。
もっと遊びに行きたかったよ。もっと笑いたかった。

カラオケとか。また映画でもいいし、遊園地とか……
世界がぐちゃぐちゃになる前に遊び尽くしたかった。
水族館とか、動物園とか、博物館とか、美術館とか、
公園だっていい。どこだってよかった。私はあなたの、


……あなたの、
                



#68「あなたの未来になりたかった」





◇


あなた
螺旋高校の卒業祝い、何がいい?
狛枝 凪斗
卒業じゃないんだけどね。


笑いながら帰り道を歩く。
最近はこうして、二人で帰ることが習慣になっていた。
もうじき作れなくなる思い出を
急いで埋めてるみたいに。


狛枝 凪斗
いらないよ。形に残るものは苦手なんだ。


彼は呆れたようにため息をつく。

狛枝 凪斗
大切にできないから。
あなた
大切にしようとしてくれるだけで
嬉しいんだけどな。


そうは言いつつも彼は私の言葉を大体無視するので、
今回もいつも通り触れられず話し続ける。
私の対応に一々ドン引きされなくなってしまった。
それに嬉しいと思うのは、間違っているだろうか。


狛枝 凪斗
このキーホルダーで十分だよ。
何かもらっても
使い所がなくて困るだろうしさ。
あなた
でも、なにかあげたかったな。だって、


最後だから。とは、言えなかった。

あなた
……同じ制服着るのもあと少しでしょ?
狛枝 凪斗
まぁ、そうだね。
ボクは清々してるけど。
あなた
ここの制服嫌い?
狛枝 凪斗
どうしようもない凡人たちから
離れられることが、かな?


私は思わず苦笑する。狛枝凪斗だ。

あなた
じゃあ、
あなた
写真撮らない? 狛枝くん。

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