久しぶりに登校してみると、
思ったより多くのクラスメイトに囲まれて
びっくりしてしまった。
こんなに心配されるのってあんまりないものだから、
なんだか少し申し訳ないような気もしてくる。
私は少し躊躇いつつも、笑って口を開いた。
数人から「有名人になれてよかったね」と笑われる。
「やめてよ」と笑いながら返す。
なんとなく。高校生だなと、思った。
別に冗談だとわかっているから
私も何も思わず笑い返せるけれど、
狛枝くんがもし事故に遭っていて、
こんなこと言われていたらと思うと耐えられない。
やっぱり私でよかったな。なんて思う。
彼にとっては嫌だろうけれど。
狛枝くんの隣の席に座って、カバンを置いた。
ほんの少し前までこれが当たり前だったはずなのに
なんだか懐かしくて心地いい。
私が彼に「おはよう」と言って、
それを無視されるのが恒例で―――
……………は、初めて、挨拶返してくれた。
びっくりして固まった私を見て、
彼は呆れたようにため息をつく。
そう言いつつ、つい笑ってしまう。声が出た。
楽しい。彼と話すのは単純に楽しかった。
それが彼を好いているからなのか、
彼の話が面白いのか、
彼に、高校生らしい裏がないからなのからか。
わからない。わからないままでいいと思った。
狛枝くんに言われたら、
なんでも嬉しくなっちゃって大変だな、と思う。
………
小さく笑う。予鈴が鳴る。
桜は散って、もうすぐ雨の季節が来る。
彼の隣で笑っていられるのは、
あとどれくらいなんだろう。と、思って。
少しだけ、泣きたくなった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。