城に到着するや否や、ヴェルトへの処置が始まった。
天青達は部屋の外に出され、治療が終わるのを待っていた。
奏弥が渡したハンカチに顔を埋めるシユ。
その時、ヴェルトが担ぎ込まれた部屋から医師が出てきた。
その言葉にほっとした人外達だが、医師は「ただ…」と顔を曇らせる。
医師は悲痛な表情で、消え入りそうな声を発した。
ヴェルトは横になって、天井を見上げていた。
扉が開き、友人達が入ってくる。
ヴェルトは小さく笑った。
人外達が退室する中、ヴェルトは天青を呼び止めた。
天青は仲間達に「先に行っていろ」と声をかけ、自分はベッド傍に座った。
扉が閉まり、足音が遠ざかっていく。
苦笑しながら、ヴェルトは呟く。
ヴェルトを覗き込み、天青は宣言した。
天青はフッと口元を緩めた。
ヴェルトが手を伸ばし、それを天青が握る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!