また、昔の夢を見た。
一番無力で未熟だった頃の記憶。
その時の記憶は、僕が今でも鮮明に思い出せるものの一つだ。
あの頃は何もできなかった。だから、全部が壊れてしまった。居場所も、仲間も、友達も、家族も、全部……
そんな風に独り言を呟いていると、
「コンコンッ」
という、扉をノックする音が聞こえた。
そう答えて少しすると、扉が開いた
彼女はスア……私を元にして作られた生命体。世界の中でよくこっちに来る者の一人だ。
基本的に、彼女は私の世話をしてくれる。僕は一度は断ろうとした。しかし、彼女の絶対に世話をしたいという意志を変えることができなかったため、僕が折れて現在に至るというわけだ。
ちなみに、彼女と称しているが、スアに性別は無い。ただ、オリジナルである私の性別が女だから、そういう風に自分を定めている……とのこと。
……スアは優しいね。僕に気を使って、ここを去ろうとしてくれてる。君だけが悪いわけじゃないのに……
そう言って、彼女はこの部屋から出て行った。
そうして、僕は制服に着替え始めた
スアSide
当たり前だっ……
だって、オリジナルはそこで全てが崩壊したから………
スゥはあの惨状を引き起こした方だ。
何も知らないスゥはそれが正しいと思ってた。
壊すことがオリジナルのためになると思って、沢山のものをメチャクチャにした。
そのせいで、オリジナルや多くの人が言葉では言い表すことができないほど、最悪な目に遭った。
スゥがここに居続けたら、あの事を想起してしまう可能性が高い
そう考えていると、
と、背後から声がかかった。
この声は……
治代ちゃんがこっちの世界に来るなんて……
話しかけられるまで全く気づかなかった………
……確かに、オリジナルはそっちの方がトラウマだ。オリジナルにとって、家族は唯一無二の大切なもので、全てを賭けても無くしたくないものだからね
オリジナルが哀しむのは、スゥ嫌だし!
ふふふっ、一番美味しいと思って貰えるくらいの物を用意しないとねっ!















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。