暗い。
目を開けているのか、閉じているかも分からない。
足元の感覚がなくて、
立っているのか、座っているのか、それすらも曖昧。
声に出したつもりだった。
でも、返事は返ってこない。
代わりに、遠くで自分の声が聞こえた。
はっきりとした、私の声。
胸がぎゅっと縮む。
違う。
それは私じゃない。
唇が動いた感覚はあった。
でも、声は闇に吸い込まれる。
代わりに、また私が笑う。
違う。
そんな言い方、しない。
やっとの思いで言葉を絞り出す。
なのに、その声さえ、どこかに持っていかれる。
返してほしいのは、身体なのか、声なのか。
それとも______
居場所なのか。
分からない。
ただ、自分が自分でいられない感覚だけが、
ずっとここにある。
それだけは、はっきり言えた。
暗闇の奥で、誰かがこちらを見ている気がする。
姿は見えない。
でも、確かに居る。
問いかけても、返事はない。
その代わり、遠くでまた私が誰かと話している。
楽しそうに、自然に。
みんながそれを"のあ"だと思っている。
声が震える。
涙が出ているのかも分からない。
拭う手も、存在しない。
このまま、誰にも気付かれずに消えるのかもしれない
______________もう戻れない。
その考えが浮かんだ瞬間、胸の奥が壊れそうになった
やっと、はっきりした感情が言葉になる。
闇に向かって、必死に必死に。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。