交互にやろうとしましたが、私が無一郎君を書きたいので、無一郎君戦闘を先に書かせていただきます。
すいません。
壺から出てきた玉壺の顔には怒りで青筋がいくつも浮かんでいた。
何がいいのかわからない無一郎は思考を放棄した。
玉壺の短い腕から新しい壺が生み出され
ピッチョン
という水が弾けるような音と共にその中から二匹の奇妙な魚が現れた。
デメキンのような魚は宙に浮きながらいきなりブクっと膨らんだ。
「千本針 魚殺!!」
二匹の金魚の口から無数の針が飛び出し、無一郎を襲う。
無一郎は屋根を転がるようにして針を避けた。
地面に着地した瞬間、目に入ったのは一匹の金魚と
自分の兄 有一郎が向き合っているところだった。
それは紛れもなく兄だった。
ブクっ 金魚が兄に向かって針を吐こうとする。
兄を間一髪で助けた無一郎はほっとした。
のも束の間
顔色を少しも変えず、金魚に刀を構える。
ブクっと金魚が膨らみ大量の針を吐く。
無数に飛んでくる針の雨を華麗な刀捌きで叩き落とす。
うねうねとしながら玉壺は笑った。
ドンと地を蹴って壺の鬼に斬りかかる。
たなびく霞とともに無一郎の刃が玉壺の頸に食い込んだ。
だが、その瞬間
短い鬼の手からまた、一つ壺が生えドバッと水が吹き出した。
「血気術 水獄鉢」
(あなたが言ってたやつか?抜け出せなくなる!)
そう思った時はもう早かった。
巨大な鉢の形になった水の塊
その中に無一郎は逆さに捉えられてしまった。
水の中で無一郎は刀を突き出す。
だが、水はただ刀身にまとわりついて歪むだけだった。
次回 無一郎サイド(これで書き切りたい)です。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!