ーLK sideー

こんな時、どうしたらいいか分からない。




仲間が…兄弟が喧嘩した時どう動けばいいのか。兄弟のいない俺にはそれが分からない。




ヨンボクが会議から抜けて部屋から出ていってしまってから俺は誰よりも早く彼を追いかけた。が、どう引き止めればいいか分からずとりあえず腕を掴んで物理的に引き止めたのだ。




しかしこれまでにないくらいに暴れて俺の手を振り払ったヨンボクに柄にもなく焦った俺はついその手を離してしまい。




結局自室に篭っている彼を引きずり出すことなんてできずチャニヒョンの部屋へと戻ることにしたのだった。

チャニヒョンの部屋の扉を開けてまず一番に目に飛び込んできたのは、今にも閉じそうな瞼を必死に持ち上げながらアイエンの肩に頭を預けているヒョンジンの姿だった。




そしてそんなヒョンジンの手を握ってゆらゆらと横に揺れているアイエン。




…………あれ、こいつらこんな仲良かったっけ？




いや、なんか仲良いってより…

何をやってるんだこいつは。こんなとこヨンボクに見つかったらもっとややこしくなるだろうが。つか人の物を勝手に飲むな。




呆れて頭を抱えていると、酔っぱらいがケタケタと笑いだした。

テーブルの上に置かれているのは三つの瓶。酒に強い奴でも普通に酔える量だ。

何故かしんみりした空気になっていると、チャニヒョンの部屋に備え付けてある磁石式電話機が鳴り響いた。




ここにかけてくる相手はチャニヒョンの取引相手か、あるいは俺達Stray Kidsへ用がある奴だ。取引相手だったらチャニヒョンに伝えておけばいいだろうと思い俺は受話器を手に取った。

相手は俺達と共生関係にある海賊団のリーダー。




この時期、このタイミングで連絡してくるということは…

 密契の祭礼（スクレ・フェスタン）。




俺達海賊の間で行われるパーティみたいなものだ。主に新しい団員が加わった時やめでたいことが起こった時に行われるが、双方の団長の同意がなければ開催されることはない。





参加できるのは共生関係にある海賊団同士、又はその海賊団のメンバーが招待した人間のみ。




よく言えば交流会、悪く言えば……腹の探り合い。共生関係とはいえ相手が自分達より弱っていたのなら、戦いを仕掛けることを厭わない。ただし、俺達以外の海賊団を相手にする時は対等な仲間として戦う。




それが、Stray Kidsが彼らと交わした契約だった。

ブツ、と通話が切れるのを聞いて受話器を戻す。




不安そうにこちらを見るアイエンに気づいて、俺は正直に話すことにした。

こんな短期間で、その華麗な身のこなしで何人もの海賊達を痛めつけ、おまけに誰もが目を引く美しい容姿をしているヒョンジンは一躍海賊達の間で超有名人になってしまった。




「あの綺麗な兄ちゃん何者だ！？」とか「死んでもいいから蹴られてぇ」とか敵さえもヒョンジンの虜になっていたのだから、もうほとんどの海賊達には知られてるんじゃないだろうか。

アイエンが入ってから一年。いつの間にかこの海賊団も大きくなり、こうして気の許せる仲間もできてしまった。




最初はただ俺の野望の為に結成して目標を達成したら解散するつもりだったのに、今ではStray Kidsが解散なんて考えられなくなって……俺はいつから変わってしまったのだろうか。




でもこれは悪い変化じゃないんだって思いたいけど、”あの人”が今の俺を知ったらどう思うかは分からない。

さも当然かのようにそう言ってのけるマンネの顔を呆然と見つめてしまう。




俺がこの海賊団の船長である限り終わらないのか……その言葉はずるいな。

ぎゃーぎゃー言いながら俺とアイエンの間に入ったかと思えばそのままアイエンに抱きついて駄々をこねるヒョンジンに構っていられないので、酔っぱらいをマンネに押し付けて部屋を出た。




密契の祭礼（スクレ・フェスタン）を開くのなら、あの子に伝えなければならないことがある。




ただ、自室に篭ってしまっている彼にそのことを話せばどう考えても火に油を注ぐようなことで、今の状況を更に悪化させてしまうかもしれない。

そう自分に言い聞かせて、俺は再び彼の部屋へと歩を進めた。

不定期更新なのでこういうこともあります😌




みなさん三連休楽しめたかな！？私は仕事でした！！




ロンドンでのキッズ達無双しすぎててむりかっこいいみんな漢になってた……




彼らのパフォーマンス見ると仕事の疲れが吹っ飛ぶ。ありがとうstraykids。




私はあなた達に一生ついて行きます。