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第14話

#〜嘘を利用する人間
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2026/02/12 09:38 更新

あなたはハンジに抱きつかれながらも、
自分と共に嘘をついてくれた兵士の元へ向かう


ガスタンクの整備をしている兵士のところに、
あなたは近づいた


すると、兵士はそれに気づき、
慌てた様子で心臓を捧げる敬礼をした

モブ兵士
あなた分隊長っ!?
ハ、ハンジ分隊長までっ!?
モブ兵士
し、失礼しましたッ!!
あなた
構わない、
急に来たのはこちらの方だ
ハンジ・ゾエ
ごめんね〜!
押しかけちゃって〜
モブ兵士
(ど、どういう状況だ?!)

兵士は上官2人が来たことよりも、
ハンジがあなたに抱きついて頬ずりしていたこと、
あなたがそれについて何も言わなかったことに驚いていた


そんな気配を悟ったのか、あなたは呆れながら口を開く

あなた
気にするな
ただの褒美だ
モブ兵士
は、はぁ……
褒美ですか…?

あなたは、ゆるんだ空気を変えるため、
真剣な表情に切り替える

すると、兵士も体をこわばらせる
あなた
今回訪ねてきたのは他でもない
モブ兵士
……
あなた
君に礼が言いたくてな
モブ兵士
………
モブ兵士
へ?
兵士が驚いて素っ頓狂な声を出す

無理もない、
あなたが一介の兵士に尋ねてくるのは、だいたいいつも
処罰の時や、厳重注意などマイナスのことだ

それに加えて、兵士には身に覚えがあった
新兵があなたと戦いはじめ、問題だと思った彼は、
あなたに何も言わずに団長へと報告したことだ

自分がしたことに兵士は、重い罰が下ると思っていた
兵士もしょうがないと思っていたし、必然だと確信していた

しかし、あの恐ろしい幼女が礼を言うと自分にわざわざ会いに来て言ったのだ、驚かないほうがおかしいというものだ
あなた
ありがとう

あどけない口もとから放たれた言葉はシンプルだった。
しかし、兵士は雷が落ちたかのように心を震わせた。
モブ兵士
い、いえ!!
自分は大したことは、なにも!!

兵士は慌てて手を横に振り、
自分より低い位置にいる幼女のため腰をかがめる

あなたは腕を組みながら言う。
あなた
何を言うんだ
十分大したことじゃないか!
あなた
君には勇気がある!!
モブ兵士
え!?
いえいえ!そんな〜
あなた
そう………だって……
あなた
貴様は、
団長に嘘をついたのだからな(ニヤ

幼女の可愛らしい顔は、
たちまち歪み、元のような冷酷な分隊長の顔に戻っていた

モブ兵士

瞬間、兵士は緩ませた顔が氷のように固まり、
そしてブルブルと震える
モブ兵士
え、えっと、あのどういう……
あなた
どういう〜〜??
モブ兵士
ヒッ!!
あなた
決まっている!
貴様も共犯ッ!!
あなた
いいか?上官に嘘をつくことは厳罰になる
今回のこと、絶対に多言するな
喋れば貴様も私も罰を受けることになる……
あなた
いいか?
言うなれば私とお前は一心同体なんだ
モブ兵士
は、はひ……
あなた
地下牢に入れば、罰の数々
もしかしたら死ぬかもなぁ〜
あなた
まぁ、その前に私が貴様を
死に追いやるかもなぁ?(ニヤ
モブ兵士
ヒッ!!
モブ兵士
じ、自分は決してあなた分隊長を
う、裏切りません!!
あなた
うむ、行っていいぞ
モブ兵士
し、失礼しましたぁぁぁぁぁ!!!

凄まじい気迫、逆らえば何をされるかも分かったもんじゃないと思わせるような表情、幼女の全てが兵士を怖がらせていた
あなた
フッフッフ………
アーハッハッハッハーー!!!

そしてその場には、
幼女の勝利の笑いだけが響き渡ったのだった……













ハンジ・ゾエ
いや、こえ〜

時刻は夕方、
モブリットに呼ばれハンジは連れて行かれた
どうやら、書類業務をほったらかしてあなたの元に来ていたらしい

あなたは泣き叫ぶハンジを無視して、自室へと戻った
ここでもあなたは、机にあった書類を片付けていた
あなた
……
あなた
どうやら客のようだな……

あなたはそう言いながらも、
書類から目を離さずに、ずっと流れるように見ていた

あなた
入ってきたらどうだ


ガチャッ……


控えめに開けたドアから、兵士が顔を出す

あなた
何の用だ……










あなた
リヴァイ
リヴァイ・アッカーマン
………

顔を出したのは、リヴァイだった

切れ長の目があなたを睨みつけるが、
あなたは気にせずペンで何かを書き込んでいる

リヴァイ・アッカーマン
お前に話があって来た…
あなた
そうか、なんだ
リヴァイ・アッカーマン
………
リヴァイ・アッカーマン
なんで助けた…

あなたの書類を確認する手は止まらず、
下に目をやったまま、何の気無しに口を開いた
あなた
貴様を助けた訳では無い、
私自身のためだ
リヴァイ・アッカーマン
お前のため?…
あなた
あぁ…
あなた
これ以上、壁外調査に出る人員を、
減らしたくなかったのでな
リヴァイ・アッカーマン
!!
リヴァイ・アッカーマン
それだけのためか……
あなた
そうだ

リヴァイは眉根の間にしわを寄せる
普通にしていても鋭い目つきが、さらに吊り上がる
リヴァイ・アッカーマン
信じられねぇな…
あなた
……
リヴァイ・アッカーマン
それだけのために…
わざわざ上官に嘘までついたってか?…
リヴァイ・アッカーマン
お前はそんなことはしない……

あなたは静かにペンを置くと、
イスの背もたれかかり、リヴァイと目を合わせる
あなた
ハハッ
〝信じられない〟だと?
あなた
まぁ、そうだろうな
あなた
お前が私を信じられないのは必然、
しかし、私のことを理解したような発言は辞めてもらおう、不愉快だ
リヴァイ・アッカーマン
なんだ…
対人訓練もした仲じゃねぇか…
リヴァイ・アッカーマン
そんな他人にでも、
少しは本当のことを言ったらどうだ…
あなた
まるで
私が嘘つきみたいなもの言いだな
リヴァイ・アッカーマン
事実じゃねぇか……
あなた
いいや違う
あなた
貴様は〝嘘つき〟の意味が分かるか?
リヴァイ・アッカーマン
………嘘をつく人間
あなた
ハッ!違うな
あなた
断言する
〝嘘つき〟とは嘘に踊らされている
人間のことだ
あなた
嘘をつきたくてたまらない、
それでしか自分を見てくれない、
理由は様々、
あなた
嘘つきは、嘘をつくことが最終的ゴール
それ自体に価値がある……
あなた
別の言い方で、〝詐欺師〟も
嘘つきの定義に入るらしいが、
あなた
詐欺師は嘘を使って人を騙すことを
目的としている
あなた
しかし、私はその先が目的
よって、私は嘘つきではない
あなた
詐欺師でもない、
あなた
嘘を利用しているだけだ
リヴァイ・アッカーマン
そうか…、じゃあ…
〝嘘を利用している人間〟…
リヴァイ・アッカーマン
ささっと本当のことを言いやがれ…
あなた
……

あなたは椅子から立ち上がり、窓の外を見た
外には月明かりに照らされた街が、キラキラと輝いていた

その光が反射して、あなたのきれいな緑の瞳に跳ね返る
あなた
壁外調査への人員を増やしたいのは、
嘘ではない……
リヴァイ・アッカーマン
リヴァイ・アッカーマン
なぜだ……
リヴァイ・アッカーマン
なぜそこまで壁外調査にこだわりやがる…
あなた
……
あなた
巨人が憎い……
リヴァイ・アッカーマン
!!
あなた
私は…
あなた
この残酷な世界の中で一番、
あなた
巨人が嫌いだ
あなた
一匹でも多く、一部分でも深く、
アイツらの体を切り刻みたい……
あなた
それこそが私の理念、
崇高な目的、
あなた
それを邪魔するものは、
誰であろうと……容赦はしない……!!

リヴァイは、幼女から目が離せなかった……
金髪の髪がゆらゆらと揺れ、緑の瞳の奥がゆらゆらと黒い何かがうごめく、……
リヴァイ・アッカーマン
(コイツは……なぜ……
 ここまで巨人を……)
あなた
なぜだという顔をしているな……
リヴァイ・アッカーマン
………
あなた
貴様にも時期に分かる……

あなたは身をひるがえし、目を瞑ると、
数秒後に開き、リヴァイを真っ直ぐと見た

あなた
もう戻れ
あなた
明日は新兵は朝早くから、
乗馬の訓練だったはずだ
リヴァイ・アッカーマン
………あぁ…
リヴァイ・アッカーマン
お前は明日も来るのか?……
あなた
いいや、
私は明日は別の用事があるのでな
リヴァイ・アッカーマン
……そうか…

リヴァイがドアに向かって歩き出すと、
あなたは小さく呟いた
あなた
あぁ…それと、
何か企んでいるかもしれないが、
あなた
一つ言っておく……
あなた
巨人を侮るなよ……

ふり返ったリヴァイは、
窓の外を眺める小さな背中を見つめた


そしてしばらくして、ドアから出ていったのだ……

リヴァイ・アッカーマン
……あぁ…分かった…


バタン!!

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