御奈茂 美緒
玲雅!
声を上げ、私は玲雅に駆け寄った
神童 玲雅
え…みお?
神童 玲雅
なんで…ここにいるの?
御奈茂 美緒
りおんさ…
御奈茂 美緒
〝魔法生物〟が助けてくれた
神童 玲雅
……莉音?
御奈茂 美緒
聞こえてた…か
神童 玲雅
なんで…美緒が莉音ねぇの事知ってるの?
御奈茂 美緒
ねぇ?
神童 玲雅
……僕の姉みたいな人だから…
御奈茂 美緒
その姉みたいな人が……私を手伝ってくれた
神童 玲雅
嘘…!だって莉音ねぇは!
御奈茂 美緒
死んだ…だよね
確信をついた言葉を吐かれ、一瞬玲雅は固まった
そのことを気にせず私は言葉を続ける
御奈茂 美緒
玲雅のお墓で…地縛霊みたいな存在になっちゃったんだって
御奈茂 美緒
……だから、魔法生物を通して……玲雅を見守ってた
神童 玲雅
もしかして…フィアが?
御奈茂 美緒
フィア?
神童 玲雅
あの……鳥の名前
神童 玲雅
莉音ねぇが死んですぐ…拾った鳥だったんだ
神童 玲雅
僕と同じ…干渉魔法を使って……
御奈茂 美緒
玲雅も…私の事見てたんだね
わかっていた事だけど確認するように尋ねる
それに対し、玲雅は大人しく頷いた
そして全てを話し始めた
神童 玲雅
美緒の事……心配だったんだ
神童 玲雅
言い訳かもしれないけど…美緒がいなくなる時心配だった
神童 玲雅
なにか……事件に巻き込まれるんじゃないかって
神童 玲雅
だから…僕はあのペンダントを使って美緒を見守ってた
下を向いたまま話す玲雅
その様子はどこか後悔と、悲しみに溢れている
御奈茂 美緒
……お守りとして、私も持っていってた
神童 玲雅
東雲さん?と仲良くなってくところも…だんだん明るくなってる所も見てると、だんだん僕がいなくても良いんだって思えてきて
神童 玲雅
でも…あの事が起きて……咄嗟に僕は魔法を使ってしまった
〝あの事〟
多分いじめっ子が私を殺そうとした時のこと
玲雅は深く拳を握りしめる
神童 玲雅
助けなきゃって……思って
神童 玲雅
体が勝手に動いてた
神童 玲雅
気がついた時には…人間を殺してて
神童 玲雅
僕の…自戒が発動した
御奈茂 美緒
人を殺さないこと
神童 玲雅
正確に言えば…〝こちらに身の危険がない場合に魔法を使って人を殺すこと〟だけどね
神童 玲雅
僕はその自戒を破った
神童 玲雅
死んで……当然なんだ
御奈茂 美緒
ねぇ、玲雅?
神童 玲雅
どうしたの?
御奈茂 美緒
私は玲雅に生きて欲しい
御奈茂 美緒
例え掟を破ったとしても
御奈茂 美緒
周りから責め立てられたとしても
御奈茂 美緒
世界中が敵になっても
御奈茂 美緒
玲雅に生きて欲しい
神童 玲雅
無理だよ…
御奈茂 美緒
どうして?
神童 玲雅
自戒は解けない
神童 玲雅
黒くなった魔法石は衰えてやがて消える
神童 玲雅
僕は……それを待つことしか出来ない
言葉を失った
少し動揺してしまった
玲雅がこんなに弱腰になる事なんて無かった
恐らく、相当やられてしまってるんだと思う
私は1呼吸おいて言葉を紡いだ
御奈茂 美緒
掟を破ったっていい
御奈茂 美緒
…自戒魔法だって魔法
御奈茂 美緒
玲雅なら……大丈夫だよ
神童 玲雅
どうして…そこまで俺にこだわるの?
御奈茂 美緒
玲雅が大切だから
御奈茂 美緒
玲雅を守りたいから
神童 玲雅
なんで?
御奈茂 美緒
私に〝生きる意味〟をくれた
御奈茂 美緒
〝生きる場所〟を与えてくれた
御奈茂 美緒
救いのない私に救いをくれた
途切れそうになる言葉をゆっくり紡ぐ
自然と、感情があふれてくる
それに比例するようにこぼれ落ちる涙
御奈茂 美緒
玲雅に……生きて欲しいの!
力いっぱいに、私は叫んでいた
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第19話 19話
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