第36話

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2025/10/23 10:29 更新
路地裏のバイクに跨ったあなたは、ヘルメットのシールドを下ろした。視界が暗闇に閉ざされると同時に、彼女の意識は**「あなたの任務での偽名」**へと切り替わる。冷静に、冷静に。
​彼女は、組織のメンバーのみが知る裏ルートを走行し始めた。それは、街の主要な道路を避け、廃墟となった地下鉄のトンネルや、夜間閉鎖された産業道路を繋ぐ、監視カメラの死角となるルートだった。
あなた
​(姫崎さんは、ボスからの命令を私に実行させることで、私を完全に支配下に置こうとしている。彼女を殺せば、私は真のあなたの任務での偽名になる。殺さなければ、組織から裏切り者として追われる)

​彼女はアクセルを踏み込んだ。バイクのエンジン音が、彼女の心の焦燥をかき消す。
​その頃、ローレン・イロアスは、私服姿で警察の小型ドローンを操作していた。彼は、廃墟のライブハウス周辺の防犯カメラの映像をハッキングし、あなたのバイクが映り込むルートを割り出そうとしていた。
ローレン
チッ、アイツ、プロ中のプロの動きだ。完全にカメラを避けてやがる
​その時、ローレンのスマホに、オリバー教授からのメッセージが入った。
オリバー
💬​ローレンくん。組織のボスについて、一つの情報を掴んだよ。彼女の組織は、過去に"『超学生』さんが利用していた音楽プロモーション会社"と深い繋がりがある」
​ローレンは思わず声を上げた。
ローレン
マジかよ!?つまり、超学生さんを刺した動機は、単なる姫崎の狂気だけじゃねえ。組織の利益が絡んでるってことか!
​組織は、人気歌い手である超学生を利用しようとしたか、あるいは、彼の活動が組織の邪魔になった。そして、姫崎姫華は、その組織の思惑と、自身のあなたへの歪んだ執着を結びつけて行動している。
​ローレンはドローンを操りながら、アクシアに状況を共有した。
ローレン
アクシア!あなたの動機は、超学生さんの件だけじゃねぇ。組織が絡んでる。姫崎は、ボスの代行として綾能を"『組織の犬』"にしようとしてるんだ!
​アクシアは、ローレンからのメッセージをバイクで追いながら確認した。彼は、あなたが乗っているのと同じモデルのバイクを運転していた。
アクシア
​(組織の犬……そんなものに、あなたをさせるわけにはいかない)
​アクシアは、彼の警察官の勘が指し示す、一本の廃線路にバイクのハンドルを切った。ローレンが探せないなら、彼しか知らないであろうルートに賭けるしかない。
​バイクを降り、懐中電灯を灯す。漆黒の闇の中、錆びた線路が遥か彼方まで伸びている。
​その線路上に、わずかに新しいタイヤの跡を見つけた。
アクシア
……見つけたよ、あなた
​彼は、懐から警察学校時代の教本を読み込んだ際に手に入れた、非公式のスタンガン付き警棒を取り出した。警察官としてではなく、あくまで"「あなたを止める友人」"としての装備だ。
アクシア
待っててね。全部、俺たちが終わらせてやるから
​廃線路を走るアクシア。地下のトンネルを駆けるあなた。二人の男の運命は、夜の帳の中で、急速に廃墟のライブハウスへと収束していく。

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