翌朝、玄関で弟たちを見送る。
いつも最後に家を出るのはジミンとテヒョンの2人だったが、今日からそこにジョングクも加わったことで2人はとても嬉しそうだ。
実際、昨日からずっとジョングクを構い倒している。
そんな2人とは反対に、さっきからずっと浮かない顔で床を見つめているグク。
どうしたんだろう...?
昨日はあんなに嬉しそうだったのに...。
ジミナの声に、グクもこちらに背を向けて先に外に出ていた2人の元へ歩みを進める。
気になることはあるけど、今はとにかく入学早々遅刻なんてことにならないよう学校へ送り出さなきゃ。
箒に跨る前にテヒョンが僕の首元を指差しながら大きな声をあげた。
彼は毎朝必ず僕にそう言って約束をしてから家を出る。
だから、僕も毎日そう約束して彼に笑顔を向ける。
僕が笑ったのを確認するとテヒョンは先を行く二人の背中を追いかけて、家を飛び立って行った。
3人が出て行ったことで一気に静まりかえった家の中。
急に訪れた静寂に耳を傾けながらそっと首元の石に触れると、そこにはいつもの感触がある。
コロコロとそのしずく形を指で転がしながら、つい二ヶ月前の誕生日を思い返す。
僕の誕生日に皆がプレゼントしてくれたその石。
6人でデザインからなにまで考え抜いて作ったとても手の込んだ物だった。
黒いチョーカーの真ん中に、みんなの魔力が込められた雫形の水晶が付いているというとてもシンプルなつくりだが、そこに籠るみんなの想いはひしひしと感じ取ることが出来た。
ふと、どうしてこんなに手の凝った物をくれるのか気になって聞いてみたんだ。
確かあの時、ジョングクが言ったのは───
未だ石をコロコロ弄りながら、過去(と言っても二ヶ月前)の記憶を何となく思い出していると、唐突に柔らかい風が頬を掠めた。
ハッとして玄関を見るけど扉はきちんと閉ざされている。
他に風が入ってくるような所もこの玄関付近には無い。
なら、これは...
"ヒョン、寂しくない?"
心地良いそよ風にのって届いた声。
その声に、言葉に、思わず頬が緩んでしまう。
もう一度、しっかり閉ざされている扉を見る。
一瞬、心配そうな、少し恥ずかしそうな顔で僕を見つめる彼の姿がそこに見えたような気がした。
『誕生日おめでとう』
"寂しいと思ったから..."
✨ちょこっと小話✨(補足説明)
七人に血縁関係はありません。
それぞれの理由で家を出て、みんなユンギの家に居候中。
ユンギの家は町から離れた森の入り口にあり、彼の両親が残した魔法によって七人以外には見えないようになっています。
と、こんな風にこれからもちょこちょこ補足をしていこうと思います!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!