私が蘭ちゃんに心奪われたのは、この日からだったー。
この日、蘭ちゃんは一通の紙を手に、泣いて喜んでいた。
もちろん、私たちも喜んだ。
だって、蘭ちゃんの夢の一つが叶ったんだもん。
この手紙は、蘭ちゃんのひみつ×戦士ファンとミラージュ!、そしてmirage²としての合格を知らせる手紙だったから。
感動して泣いている蘭ちゃんを見ていたら、私も泣けて来た。
だって、蘭ちゃんがすごく頑張っていたのを、私は知っているから。
個人練習を、学校帰りに毎日通って、帰ってからも練習三昧。
とにかく頑張っていた。
ー私は、そんな蘭ちゃんの魅力にこの頃から惹かれていた。
それからあっという間に数ヶ月が経ち、今日は7月31日。
蘭ちゃんのGirls²としての初ライブの日だ。
合格通知が来てから、蘭ちゃんは前以上に個人練習に行ったり、撮影に行ったり、とても忙しそうだった。
今日の居酒屋えぐざいるが終わったら、蘭ちゃん含め家族5人でご飯を食べに行けることのなっていて、正直この時の私はライブよりもそっちを楽しみにしていた。
プログラムがGirls²の番になると、ダイジョウブのバックミュージックが流れ始めた。
私は席から若干前のめりになり、Girls²の出番をまだかまだかと待ち構えていた。
すると、リーダーの美咲ちゃんの声が会場に響き渡った。
客席からはワァーっと歓声が上がる。
最終曲、“恋するカモ”が終わった時、私は泣いていた。
いつ泣き出したかなんて、覚えてない。
気づいたら泣いていた。
ーそうだ。私は、感動したんだ。
いつもあんなにやんちゃで明るくて、騒がしくて、少し鬱陶しい蘭ちゃんが…蘭ちゃんが、すごくかっこよかった。
私は、蘭ちゃんに心を打たれたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。