第3話

にぃ
220
2025/11/11 13:05 更新
次の日の放課後。
『キーンコーンカーンコーン…』
あなた
ぶっかつ〜…ぶっかつ〜…
美夜
あなたの下の名前〜!一緒かえろ!
あなた
あー、ご、ごめん…私今から仮入部行くから…
美夜
あー…そっかぁ…今日はどこ行くの?
あなた
今日も美術部!
美夜
昨日もだったよね!もしかしてあなたの下の名前はこのまま美術部に入部するの?
あなた
そのつもり!
美夜
そっか…じゃあ部活は別だね…
あなた
……そうだね、美夜はバスケ部だったよね
美夜
うん!
あなた
…水都のバスケ部強いんだってね?
美夜
うん!…まぁ、部活全体ってよりかは、一人強い人がいて、その人が全体のレベルを底上げしてる感じ?
あなた
へ〜…?
美夜
……そして、その人が部活の顔面偏差値も底上げしてるって話も…
あなた
凄い人がいたもんだ…
美夜
……で〜。その人、ほんとイケメンでさぁ…?私もちょっと狙ってるっていうか〜…
あなた
凄いクラスメイトがいたもんだ…
そんな話をしていると、階段の途中に青色の髪が見え、美術部を思い出した。
あなた
あっ…!ごめん!部活行くね!
美夜
あっそっか!ごめんね引き留めちゃって…!
あなた
ううん全然!また話そ!
あなた
………せ、先輩、こんにちは〜…?
悠人
悠人
……ん
無言のまま美術室に向かう。きっと気まずく感じているのは私だけなのだろう。
あなた
こんにちは〜
3年生
こんにちは〜!
3年生
あ、悠人くん!今日も昨日と同じ感じだから、適当に後輩達と話つけて!
悠人
悠人
…分かった
3年生
先輩には敬語ね!
悠人
悠人
……………
また言われてるよこの人……なんて口に出したら恐らく明日の私はいないので全力で黙る!!!
今日はどうすればいいのかな〜なんて思いながらぼんやり1年生が揃うのを待っていると、突然先輩に呼ばれた。
悠人
悠人
…おい
あなた
あっ、はい…!
悠人
悠人
なんで来ないんだ
あなた
………へ?
悠人
悠人
今日も俺が付いてやる
あなた
え…えぇ!?
悠人
悠人
………なんだ?俺じゃ不満か?
少し高圧的な喋り方をした先輩に驚きながらも先輩の席の隣の椅子に座った。
あなた
お、お願いします…
悠人
悠人
………それでいい
あなた
今日はどうすればいいですか?
悠人
悠人
………
悠人
悠人
……自分の好きなものでも描け
悠人
悠人
本棚は奥。ネットで調べたい時は……自分のスマホでも使え。
あなた
…は、はい……
それだけ言うと先輩は奥、つまり本棚の方に行ってしまった。
あなた
(好きなもの、か……改めて考えてみると、なんなんだろうなぁ…)
あなた
………ラムネ瓶、かなぁ
悠人
悠人
………
あなた
…………
お互いに無言で鉛筆を走らせる。
他の人達のところからは楽しそうな話し声が聞こえてくるというのに、ここだけは常に無言。話すことのほうが珍しい。
悠人
悠人
……
悠人
悠人
……?
不意に先輩がこっちを見た。
悠人
悠人
……何描くんだ?
あなた
……瓶…?
悠人
悠人
瓶…
あなた
…いや、瓶じゃないかもしれないし瓶かもしれないです
悠人
悠人
………??
あなた
??
悠人
悠人
………いや、お前が分からないなら誰も分からないんだが
あなた
じゃあ誰も分からないってことで…
悠人
悠人
……あぁ
悠人
悠人
………
あなた
………
悠人
悠人
…一応お前が描きたいのは瓶なのか?
あなた
あっはい
悠人
悠人
…それならここの線は濃く取れ。それでこっちを薄くしろ
あなた
……わ、凄い、一気にそれっぽくなった…?
悠人
悠人
…見た感じお前が描きたいのはこっちから光が入って来てるんだろ。ならここの強弱を考えるだけで一気に雰囲気が出る。
あなた
……じゃあ、こっちから光が入ってるとしたら……こうなるんですか?
悠人
悠人
悠人
悠人
…悪くない
悠人
悠人
ただ、それならここの影の入れ方も少し変えたほうがいい
悠人
悠人
こう入ってきてるだろ、だからこの辺の影を薄く……
???
すーみませーん!悠人クンいます〜?
あなた
…ありゃ先輩呼ばれてますね
悠人
悠人
……チッ、はぁ…行ってくる。続けてろ
悠人
悠人
バスケ部がここに何しに来た?
悠人
悠人
─京
京
え〜?何って、忘れ物〜♪
『ザワザワザワ…』
いきなりざわめき出した美術室。
小声に耳を澄ますと、バスケ部のエース、そしてイケメン……
確かに見た目は整っている。
私はあんまり好みじゃないけど…こういうニコニコしてる人よりクールな人のほうが私は好きだからなぁ。
京
も〜悠人クンったらボクがいないとなぁんにもできないんだからぁもう!
悠人
悠人
黙れ
悠人
悠人
………で?忘れ物は?
京
あーそうそう、
京
はい!
悠人
悠人
………っ、おいこの傘…!
京
うん!ボクが朝悠人クンから盗んで返すの忘れてた傘!
悠人
悠人
結局俺は悪くないよな
いい加減な人だな、なんて思いながら鉛筆を動かす。
悠人
悠人
…はぁ、要件が済んだなら早く帰れ
京
え〜ヤダ
悠人
悠人
はぁ…?
京
だってボク今日部活ないんだも〜ん
京
悠人クン一緒帰ってよ〜
悠人
悠人
ダメだ
京
えっ!?あの悠人クンがサボりの誘いを断るなんて…!!!?明日雪でも降るんじゃないの!?
あなた
(…え、そんなサボる人だったの!?…見かけじゃわかんないもんだな)
京
え………いや、ほんと、ガチめになんで?大丈夫?病院行く?
悠人
悠人
…俺だってちゃんとやる日くらいある
京
えー…?
なんとなくで先輩の方を見ると、後ろの京…?さんと目が合った。京さんは私の横の先輩の荷物を見ると、ニヤニヤと笑った。
京
あーー
京
分かった!悠人クン好きな……
悠人
悠人
死ね!!!!
先輩は京さんを押して美術室を出ていった。
京
あーちょっと!暴力反対!よくないよ!!そんなことしてたらDV彼氏になっちゃ…
悠人
悠人
良いから黙れ!!
あなた
(………先輩、大丈夫かなぁ…)
          〜〜数分後〜〜
悠人
悠人
………はぁ……
あなた
…あ、先輩。おかえりなさい。大丈夫でした?
悠人
悠人
………大丈夫に見えるか?
あなた
いえ全然?
悠人
悠人
そんな笑顔で言ってくる奴は初めて見た
悠人
悠人
………はぁぁ…
あなた
あはは…お疲れ様です
先輩から視線を戻し、再び鉛筆を動かしていると、その私の手を、鉛筆を、先輩はじっと凝視してきた。
悠人
悠人
………
あなた
……あの、なんか意見とかアドバイスとかあったら直接言ってください…あんまり見られるのは……
悠人
悠人
………いや、特にない
あなた
えぇ…?
悠人
悠人
……ただ、今は見させてくれ
悠人
悠人
それだけでいい
あなた
……わかり…ました…?
悠人
悠人
………
あなた
………
悠人
悠人
(………穏やかな線だ)
悠人
悠人
……ふっ、
顧問
じゃあ今日はここまでで〜
顧問
入部してくれる人がいましたら明日以降入部届け提出しといてくださいね〜
悠人
悠人
……見ていいか?
あなた
あ、どうぞ
瓶の絵を見せると、先輩は少しだけ微笑んだ気がした。
悠人
悠人
………
悠人
悠人
………良いんじゃないか
あなた
ありがとうございます!
あなた
…先輩は何を描いたんですか?
悠人
悠人
見るか?
あなた
み、見たいです…!!
悠人
悠人
……これだ。
あなた
……あ、これ、もしかしてリナリアですか?
悠人
悠人
あぁ
あなた
凄い……やっぱ、先輩の絵、綺麗だなぁ……キラキラで、命があるみたいで……
悠人
悠人
…………
悠人
悠人
(………俺の絵をこんなに純粋に褒めるやつなんて、お前くらいだろうな)
あなた
じゃあ、先輩、送って下さってありがとうございました…
悠人
悠人
……通り道だからな。
あなた
ぇへへ、でも、ありがとうございます。
悠人
悠人
…………あぁ
あなた
ではまた!
悠人
悠人
あぁ、また。
木製のドアを閉めた。
悠人
悠人
…………また、か
悠人
悠人
……入部するってことで…いいんだよな…?

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