pn視点
時計の時刻は午後7時50分を指していた。
作業を中断し、日常組のDiscordグループにログインした。
他三人のうち二人は既に通話状態みたいだ。
俺がそう返事してすぐに,四人目の声が聞こえて来た。
なんて事ない会話を一つ二つ挟んだ後,今日の打合せが始まる。
次の企画はどんなものがいいか。どんなデータパックを作るのがいいか。生放送はどんなことをやるか。
リスナーを喜ばせる為に、皆この打ち合わせを大切な仕事として真剣に取り組む。
勿論、この俺も。
話合いが煮詰まり意見が飛び交わなくなったタイミングで,休憩しようというクロノアさんの言葉が出た。
リーダーのクロノアさんからの激励に、しにがみは素直に喜んでいる様子だ。
口を動かしながらも、俺は休憩中など関係なく打合せ前にやっていた作業を進めていた。
ぶつぶつと独り言を言っているのが聞こえたのだろう,メンバーが訝しんでいるのを感じる。
今俺が作っているのは『Minecraft』のスキンのアニメーション素材だ。
日常組では時々、トラゾーの作る物語を基に長期シリーズものを撮影して,投稿し続けている。
そして今まさに投稿しているシリーズものが佳境に入るところで、俺もあなたの下の名前も編集にいつも以上に力を注いでいるのだ。
二人三脚でやる編集は前は不安だったが、あなたの下の名前は物覚えも良く俺よりもしっかりしているところがあるから,必ず期限までに期待通りの出来栄えで素材を送ってくれる。
そんなあなたの下の名前を、俺はメンバーと同じくらい信用している。
しにがみが素っ頓狂な声を上げる。音声の向こうで微かに椅子が動く音が聞こえた。
苦笑いしながらクロノアさんがそう小さくツッコミを入れる。
四人の中で笑いが生まれる。
大体、まだ通話でしか話したことない,会ったこともない人だし。
好きになるとか,……多分ない。
しにがみの鋭いツッコミに俺はまた笑った。
そんな話も挟みつつ,打ち合わせは終了した。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。