〜まひるside〜
ひーくんは笑いながらそう言うと、私を片腕で抱きしめながら電話をかけ始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー通話中ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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と言って、ひーくんは私に向かって手を差し出してきた。
私は、帽子を目深に被ると差し出されたひーくんの手に自分の手を重ねて車へと向かった。
車に着いた私は、後部座席へと乗り込んだ。
助手席には乗らない。
週刊誌対策のためだ。
照くんの後部座席と後ろの窓は、マジックミラーのフィムルが貼ってある。
マジックミラーとは、昼間のように外が明るいところでは鏡のように反射して中が見えにくくなり、中が明るい場合は外から見えるようになるという特殊なものだ。
フロントガラスや運転席、助手席の窓にこのフィルムを貼ってしまうと道路交通法に引っかかってしまうのが、後部座席なら問題は無い。
と答えて、私はシートベルトをした。
久しぶりのひーくんの匂いと微かに残ったタバコの匂いが、私を安心感で満たしていった。
いつまでも、こんな日々が続けばいいのに……
と叶わない願いを心の中で呟きながら、私は窓の外を見つめ車が発射するのを待った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。