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第1話

第一章【はじめての距離】
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2025/09/04 14:12 更新
夜のカフェ。
ガラス越しに、きみが座ってるのが見えた。

──やっと、見つけたぁ。

ふわふわ揺れる、やさしい色の髪。
テーブルに置かれた分厚い本は……植物の本?
ページめくる指まで、綺麗だなぁ……。

ずっと、見てたんだよ?
前から、ずっと。
でも、こうして話すのは今日がはじめて。

カラン。
ドアを押すと、小さなベルが鳴った。
きみが顔を上げて……わぁ、笑ってる。
目、隠してるのに。笑ってるの、分かる。
兎涙
兎涙
「……こんばんは」
やさしい声。
あぁ……かわいい。
かわいいなぁ、どうしよう……。
天条
天条
「ねぇねぇ、ここ座っていい?」
兎涙
兎涙
「……はい。どうぞ」
座っちゃったぁ。
きみのまえに。
近いよ、でも、もっと近くなるんだよ?ねぇ?
天条
天条
「ひとり?きみ、ひとりなの?」
兎涙
兎涙
「……そうですね。一人です」
……ね、似てるよねぇ?
天条ときみ、すっごく似てる。
寂しいの、わかる。
だから……天条が、埋めてあげる。
天条
天条
「ねぇねぇ、名前、教えて?」
兎涙
兎涙
「……兎涙(となみ)です」
……兎涙。
兎涙……兎涙……♡
あは……やっと、名前、知れた。

やっと、手に入れられるんだねぇ。
もう、絶対はなさない。
誰にも、わたさない。
天条
天条
「……ふふ、かわいい名前だねぇ」
笑った。やさしく。
でも、胸の中ではずっと、叫んでた。

──兎涙、
きみは天条のものだよぉ……♡

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