前の話
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夜のカフェ。
ガラス越しに、きみが座ってるのが見えた。
──やっと、見つけたぁ。
ふわふわ揺れる、やさしい色の髪。
テーブルに置かれた分厚い本は……植物の本?
ページめくる指まで、綺麗だなぁ……。
ずっと、見てたんだよ?
前から、ずっと。
でも、こうして話すのは今日がはじめて。
カラン。
ドアを押すと、小さなベルが鳴った。
きみが顔を上げて……わぁ、笑ってる。
目、隠してるのに。笑ってるの、分かる。
やさしい声。
あぁ……かわいい。
かわいいなぁ、どうしよう……。
座っちゃったぁ。
きみのまえに。
近いよ、でも、もっと近くなるんだよ?ねぇ?
……ね、似てるよねぇ?
天条ときみ、すっごく似てる。
寂しいの、わかる。
だから……天条が、埋めてあげる。
……兎涙。
兎涙……兎涙……♡
あは……やっと、名前、知れた。
やっと、手に入れられるんだねぇ。
もう、絶対はなさない。
誰にも、わたさない。
笑った。やさしく。
でも、胸の中ではずっと、叫んでた。
──兎涙、
きみは天条のものだよぉ……♡








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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!