たまたま通った公園で、東雲くんが歌っている姿が見えた。今日は練習はないと白石さんと話していたのできっと自主練だろう。
「し、東雲くん、!」
「ッ、?あ、草薙か」
「あ、ごめんね…練習の邪魔して」
「あー…いや別に平気」
東雲くんは少し気まずそうな顔をした後、何かを思いついたように言った。
「なぁ…ちょっと聞いていかね?」
* * * *
なんだか東雲くんの歌を聞くことになった。
でも、まぁ…歌を聞くのは嫌いじゃないし。この後に用事などもなかった為近くにあったベンチに座って東雲くんの歌を聞くことにした。
「〜♪」
東雲くんの歌は、一つ一つ繊細でそれでもなんだか力強くて、『生』が感じられるような歌な気がした。
そんな東雲くんを見ていたら、なんだか学校でのことを思い出した。
芸術祭の時、私がうまくみんなをまとめられなかったのを自然にカバーしてくれこと…。なんだかんだ勉強も頑張っているとこ…。
そして_誰かが困っている時、まっすぐに向き合ってくれること。
「……東雲くんって、真剣だなぁ。」
思わず声に出ていた。東雲くんは驚きながらこっちを向く。
あれ、違う。
「まぁ…歌に関しては、な?」
ねぇ、なんでなの
「真剣にやらねぇと、あいつらには追いつけねぇから…、」
そんな顔、しないでほしかった。
やっぱり、私じゃ_












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。