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第4話

episode4
673
2019/03/30 09:52











けっしてふりかえってはいけない







ついてきてしまうから







けっしてめをあわせてはいけない







のまれてしまうから







けっしてことばをかわしてはいけない







はいってきてしまうから












着物を着た小さな少女がこちらを見ている。けれどその少女の顔は青白く、目に光はない。


縁側に座りこちらに顔だけを向けて、ぽそりとつぶやくようにそう言った。





それはまるで、忠告のようだった。










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重い瞼を開け、頭の上にある目覚まし時計を見た。





────午前4時。






あまりの早すぎる目覚めにため息をつきながら、のそのそと身体を起こした。





「……走るか。」












まだ朝日も見えない時間。

早く目覚めてしまったのだが二度寝する気にもなれず、近所をランニングすることにした。


早朝なだけあって、深夜になっても酔っ払いやクラブやバーなどで賑わう都内も静まり返っている。




春といっても日が昇る前は気温が上がらず、吐く息は少し白い。




2、3kmほどしか走っていないのに息があがる。
冷たい空気が呼吸をする度、肺を突き刺すように刺激する。


鈍った身体を少しでも戻そうと歩幅を広げた。








その時だった。








    「ねぇ…」










後ろから声がした。








幼い、子どもの声が。










先程の道に誰かいたかな、と思い、後ろを振り向いた。








そこで気がついた。












まだ明け前だ。















子どもがいる筈無い。


















しかし、そう思ったときにはもう遅かった。














既に振り向いてしまった。













 「お前には私の声が聞こえているのか」






ニヤリ。










薄ら寒い、気味の悪い笑みを浮かべるヤツ。










あれは。















人ではなかった。





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