第10話

der Ort, den ich liebte….《ワイテルズ》『前編』
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2024/07/05 13:51
*アンケートで多かったワイテルズの"半"死ネタパロです。
※ぴくとさんとかのも後でだします。
*"基本的に"恋愛なし。
*微死ネタ。
*ワイテルズメイン。
*こちらの短編は長いので、前編と後編に分けます。
(もはや短編じゃなくなってきてる。)
*前編です。
きっかけは、とある些細な出来事からだった。

とある1人の少女と1人の少年が喧嘩した。

ただ、それだけのことだった。

たったこれだけのことが大きな出来事を引き起こした。



〜あなたside〜
なかむ
っ、もう‼
なかむ
なんでなの⁉
なんでわかってくんないの⁉
なかむ
それに、うるさいんだよ‼
俺はもともと、お前と仲良くする気なんて、なかったんだよ‼
なかむ
でも、それでも、しゃけとかぶるーくたちが仲良くしてるから‼
なかむ
仕方なく、俺も仲良くしてやってるだけなんだよ‼
なかむ
もう、近寄ってくるんじゃねぇ。
なかむ
俺は、お前がだいっっきらいだ。
なかむ
お前の顔も見たくない。
そう、言われた。

僕は、すごく悲しかった。

僕は、なかむが、ワイテルズがすごい大好きだった。

僕の居場所は、僕を受け入れてくれたのは、ここしかなかった。

だからだろうか。

なおさら、つらかった。

「なかむに嫌われた。」

ただ、ただ、この現実だけが、心に突き刺さっていた。
あなた
ご、ごめん、なさ、い。
きりやん
なかむ、そんなに言う必要はないと思うよ。
シャークん
なにもそこまで…。
スマイル
…………。
きんとき
…………。
ぶるーく
なかむ………。
…、「そんなに」……??
きりやんもなかむみたいに思ってたって、こと…??

何も反論とかしないで、黙ってる…??
きんときとスマイルも、僕がうざいと思ってたってこと…??

口ごもってる…??
ぶるーくとシャークんもそう思ってたってこと…??
最初から、僕は、歓迎されてなかったの…??

誰も、仲良くしようなんて、思ってなかった、の…??
あなた
ぁ、あ、あぁ、
あなた
ごっ、ご、めん、な、っさ、っ、い、…。
僕はそう、一言。

たった一言だけ謝って、その場に背を向けて駆け出していた。

外に出た。

とにかく、走って、走りまくった。

気がつくと、まだ振り始めたばかりであろう雨が降っていた。

かすかにペトリコールの匂いが鼻をかすめた。





その日から、僕は学校に行かなくなった。

みんなに会いたくなかった。

ワイテルズのみんなに会いたくなかった。

幸い、僕は一人暮らしだったので、誰にも何も言われなかった。


僕の両親は、つい1年前に交通事故で他界している。
あなた
…………、そろそろ、お墓参りの時期か…。
あなた
お父さんとお母さんの好きなものもってこ…。
もう、8月もそろそろ終わる時期。

僕は両親のお墓参りに行くことに決めた。





外にでて、駅のホームで電車を待っていた。
あなた
……、久しぶりに駅に来たな…。
あなた
………。ここで、線路に落ちれば、らくに、なれるのかな…??
なんて。

無意識のうちに、そんなことを呟いていた。

トントン。

ぼーっとしていると、急に誰かに肩を叩かれた。

そして、声をかけられた。
.
ね、ねぇ、。
あなた
えっ、??
振り返ってその顔を見た僕は、目を疑った。
.
線路に落ちちゃうよ、危ないよ…??
だって、
きんとき
…………。
きんときがいたから。
あなた
え、ぁ、ごめん…。
あなた
ありがとう…。
ふと、僕の足元を見て気がついた。

もう、駅のホームのギリギリに立っていた。

きんときが止めてくれてなかったら、落ちていただろう。
きんとき
い、いや、大丈夫、だけど…。



プァァァァ~~‼

続いては、〜〜〜行き、108系統が、4番線、4番線のホームに停車いたします。危ないですので、黄色い線から離れてお待ち下さい。


電車が来た。

僕が乗る予定の電車だ。

僕は、一刻も早くきんときから離れたかったから。
あなた
ごめん、電車、来た、から、もう行くね…。
あなた
ありがと、きん、とき…。
そう言って僕は電車に乗った。

きんときの方向をふと見る。
きんとき
え、ちょっと、まって、
きんとき
どこにいくの_____



プシュー、ガシャン‼‼


電車のドアが閉まった。

きんときがなにか言いかけていたが、気にしないことにした。
きんとき
____、______‼____‼______、____‼
こちらに手を伸ばしてなにかを言っている彼は少し焦っているように見えた。





お父さんとお母さんのお墓の掃除をして、お線香を焚いて、そっと置いた。
花も差し替えをして、お水も変えた。
お供え物には、お父さんが好きだった、スイカを置き、お母さんが好きだった、わらび餅を置いた。
そして、僕はそっと、手を合わせた。
あなた
……………。
あなた
お父さん、お母さん。僕は、どうしたらいいの…??





家に戻ってきて、僕はすぐに眠りについてしまった。

気づけば朝だった。

今日の外は雨。

それに、今日は土曜日。

冷蔵庫の中を見るも、中身が空っぽなことに気がついた。
あなた
………、しょうがない、外に、でようかな…。
2日連続で外に出るのはあまり気が進まなかったが、食べるものがないため、近くのスーパーに出向いた。


スーパーで、買うものを買ったので、帰ろうとしたら、どこからか声が聞こえてきた。

複数人の声だ。

入口の方から聞こえてきた。

まぁ、でもどうせ、知らない人たちなのだろうと、僕は歩いて入口に向かっていった。

その判断をしたのが、間違いだったのかもしれない______


僕は、会ってしまった。

1番、会いたくなかった人に。
なかむ
…………。
きりやん
…………。
あなた
っっ……。
なかむ
あ…、えっ、と…、。
あなた
ぁぁ…、ご、ごめんなさいっ…‼
きりやん
えっ、ちょっっ…‼
なかむ
ぁっ…、ちょっとまって…っ‼
僕はただ、怖くて怖くて仕方がなかった。

夢中になって走って逃げた。
とにかく外を走って走って走った。

雨でびしょ濡れになろうとも。

ガシャッッ

なにかの落ちた音がしたが、お構いなしに走った。
.
へっ…??




〜Broooockside〜
バシャバシャッッ。

という音と共に向かい側から女の子が傘もささずに走ってきた。

すれ違った瞬間に、

ガシャッッ

という音がした。

下をみてみると、あの女の子のものであろうスマホが落ちていた。
ぶるーく
へっ…??
それを拾い上げてみてみると、薄ピンクの裏が透明なスマホカバーに覆われていた。

裏の透明な部分にはシールでも剥がされたような跡があっただけだった。

表にしてみると、僕の不注意で電源がついてしまったみたいだった。

ぶるーく
えっっ…。
これって…、僕たち…、??
ぶるーく
7人でふざけて集合写真撮った時の…。
ぶるーく
まって、もしかしてこのスマホって……‼
僕はさっきの女の子のもとに走って向かった。

きっと、スマホの裏のシールが剥がされたような跡はおそらく7人で撮ったプリクラを剥がした跡だろう。

きっと、彼女はもう戻らないつもりだ。

なら、僕も…。
ぶるーく
あなたのところにいかなくちゃ…。




〜あなたside〜
あなた
ハアッ、ハアッ、…。
ついた。ここは、僕が一番好きだった場所。

いつもワイテルズのみんなが相談に乗ってくれたりしていた場所。

「廃ビル」。
ギイッ、ギイッ…

床が軋む音がする。

今にも壊れそうな廃ビルの屋上が一番僕は好きだった。
あなた
…………。
かすかにゲオスミンの匂いが鼻をかすめる。

屋上のふちギリギリにくつとくつ下を脱いで座る。

足をぶらぶらさせる。
あなた
もう、戻りたくない…。
ガチャッ、キィィィィ…

誰かが扉を開けて入ってきた。
あなた
…………。
だれ、ですか……??
.
僕だよ。
あぁ、その声。

僕がずっと聞きたかった。聞き馴染みのある声。
ぶるーく
あなた。
あなた
ぶるー、く、。
こちらのお話は少々長いので、前編と後編の2つに分けさせていただいております。
こちらは、前編です。
ちなみに、題名はドイツ語です‼
題名の日本語訳は次回の後編で書きますね、‼

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