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ラベンダーカラーのオーガンジーのリボンはわざわざ手芸屋さんまで行ったのに、
いらなくなっちゃった。
重いくらいの気持ちがこもったチョコレートを誰にあげればいいんだろう。
窓際の一番後ろという特等席。
これ、本当にどうしようかな、なんて思いながらリボンを持ってプラプラさせてみる。
するりとリボンがほどけて感じていた重さがなくなる。
「あ、」
地面に落ちて、崩れるなんて
私の今の気持ちと一緒······なんちゃって。
「だめだよー!不法投棄!!」
私のチョコレートを拾ってくれた
サッカー部のユニフォームを着た男の子。
真冬なのに、なんで汗かいてるんだろう。
「大事なものじゃないの?これ。」
そうだよ、5分前までは。
「それあげる。部活おわりにでも食べて。
別に捨ててもいいけど」
「え?!まじ?!いいの?!」
バカでかい声で叫ぶじゃんこの人······。
「中島ぁ!何サボってんだ!」
あ、体育の先生··········そっか顧問か。
「あ、すいません!
じゃ、俺ほんとに貰っちゃうよ?ありがと!」
手を振って走っていくから
つられて私も手を振る。
まぁいいか、誰かに食べて貰えるなら
チョコレートを幸せだよね。
そういえばナカジマって、
どこかで聞いたような気がする。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。