僕は...、っ
もう、必要ないんだ、
親にも、友達にも、
邪魔なんだ、
ならいっそ、消えたい
邪魔なら、もういい
いいよ、
僕はこの街でも大きい川の上にある橋へと走った。
橋に着く。
空は少し暗く、星が輝いていた。
橋は結構高く、見下ろすと怖い。
僕は欄干に思い切って足をかける。
5歳の僕には難しかった。
だから手間取ってしまった。
そのせいだろうか。
ふと後ろから、声が聞こえた。
車の音に紛れて聞こえてくる地を駆ける音。
僕は足を止めて振り向いた。
息を切らして走ってくる大人がいた。
その人は、
息を整えて僕の手を掴んできた。
僕は一瞬手を引っ込めそうになった。
僕は何が悪いのと言わんばかりに
その人の目を真っ直ぐ見た。
こんなことが起きるのは、
僕にとっては日常茶飯事のことだった。
一昨日は、薬屋で大量の薬を買おうとした。
でも、親の確認が必要だとか言われて駄目だった。
先週は、道路に飛び出して轢かれようとした。
不運なことに、トラックが寸前で止まって轢かれなかった。
先月は、部屋で縄を吊るして死のうとした。
けど、母に通報されて止められた。
いつもは僕を叱るくせに。
辛いから。
当たり前の事だった。
でもなんでそれを言わなきゃならないのか
言ってもどうせ、綺麗事しか言わないだろう。
止めるだろう。
そんなことはもう飽きた。
だから、
僕は手を振りほどいて、走ろうとした。
でも、数秒後にはまた前にそのおじさんがいた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。