音を立てて棺桶の蓋が開いた
目の前に赤い瞳が写って
蓋を開けたのが兄さんだと理解した
ぼんやりする頭でスマホの電源を入れると
ロック画面には『13:05』と表示されていた
棺桶から体を起こそうとすると
兄さんは軽く笑い体を起こすのを手伝ってくれた
目の前を見るとワンコと二つの同じ顔が
確か軽音部の子だった気が…
水色のピンをしてる方の子が首を傾げながら兄さんの方を向いた
確か弟の方だった気がする
自己紹介しようとその子の方を向くと
兄さんが私の隣に座って
私の頭に手を置いた
優しく私の頭を撫でた
意識に強ばっていた力が抜けて自然と笑顔になる
二人は納得したように頷いた
軽く手を振る二人の頭を少し引き寄せた
最初はびっくりした顔をしたが
少し撫でると気恥しそうに笑った
その笑顔が小さい頃の凛月と重なって見えた
一通り撫で終わると兄さんが聞いてきた
元気に返事をした双子はそのまま部室から飛び出して行った
今まで一言も発していなかったワンコが
不機嫌そうな顔でこっちをずっと見ていた
ちょっとおちょくるように言うと
いつものように今でも噛みついてきそうに怒鳴ってくるかと思えば
と叫ぶとすぐに大人しくなった
軽く溜息を吐き、頭をかきながら
ワンコは立ち上がって私から目線を逸らした
恥ずかしかったのかワンコはそれだけ言うと
逃げるように部室から出ていった
ずっと黙っていた兄さんは少し悲しそうな笑顔をしていた
兄さんの方を向けば
兄さんは少し乱暴に私の頭を撫でた
不思議そうに兄さんを見れば
兄さんは優しく笑った
テンポよく頭を撫でられ
急な眠気が襲ってきた
その眠気に身を委ねて
そのまま意識を手放した

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!