第26話

案内ドーミトリー!
4,016
2020/08/28 17:00








あなた
あのー…本当に良いんでしょうか、宿なんて用意して貰っちゃって…
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
良いです良いです。
どうせこの建物も長いこと使われていませんしね。少々掃除は必要ですが。

グリムの入ったケージを抱え、先程まで居た鏡の間を後にした私達は学園の外に出た。


ほんの少し歩いて行くと、雲行き怪しい空の下に建物の影が見える。

それはお世辞にも綺麗とは言えず、かなり築年数も経っているようだ。


(良く言えば『趣がある』、悪く言えば…)
グリム
グリム
何だこれ。超ボロいんだゾ!
あなた
あははは…
グリム
グリム
おい、学園長!オレ様達をこんな所に置くつもりか?!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
嫌ですねぇ、知らないんですか?
外構や外壁は風化しやすいんですよ。

確かに無人だと建物の風化は早く、あっという間に駄目になってしまうと聞いた事がある。
あなた
そうだよ、グリム。中はそこまでダメージを受けていないかも。
グリム
グリム
いいや、絶対ボロいんだゾ。

『ギギギ…』

木材の軋む音と共に学園長が玄関のドアを開けると、中の様子がゆっくりと姿を現した。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
こっちです。

学園長の案内で連れて来られた場所は、

玄関を過ぎてすぐにある部屋。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
ここが確か談話室です。

椅子や机はひっくり返り、額縁の絵は傾いてるならまだしも床に落ちている。

レンガで組み上げられた暖炉、部屋の片隅や天井の4つの角には大きな蜘蛛の巣が張られていた。

暖炉上の大きな一枚鏡や窓ガラスもすっかり埃に覆われて、曇っている。


あちこちに埃が溜まり、

窓ガラスから取り込まれた月光によって、舞う埃が雪のように煌めいていた。
グリム
グリム
ほぉーら、オレ様が言った通りボロかったんだゾ。
あなた
相当…使ってないんですね、あはは。
グリム
グリム
これは酷すぎるんだゾ。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
まさかここまで酷いとは、私も思いませんでした。どうしましょう?
グリム
グリム
こ、こんな所に住むなんて御免なんだゾ!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
貴方はさておき、あなたさんが心配ですねぇ。ハウスダストが駄目なら考え直さなければ…
あなた
いえ!私は大丈夫です。それに片付けやお掃除さえすれば何とかなると思うので。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
そうですか?
何なら学園長室をお借ししますけど?
グリム
グリム
オレ様はそっちの方が良いんだゾ。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
貴方ではなく、あなたさんに聞いているんです!
グリム
グリム
ふな"っ?!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
それに私が出す条件というのは、あなたさんとグリムさんが揃う、一緒に居る事が前提ですから。
あなた
え?








ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
良いですか?決して外を出歩かないように。
グリムさんはまだしも、あなたさんは今日騒ぎになった " 女性 " なんですからね!
あなた
は、はい…

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