___________この人が、こんなにも愛しい。
けれど、言葉にするにはあまりにも儚すぎた。
運命がふたりを引き裂こうとしていることを知っているから。
だからこそ、今だけは……。
全身を駆け抜ける熱に、あなたはかすかに息をのんだ。
温もりが理性をゆっくりと溶かしていく。
あなたは目を閉じ、ただあなたの好きな人の名前のすべてを感じた。
温もりが、鼓動が、愛おしくて仕方なかった。
(この時間が、永遠に続けばいいのに……)
セフィロトの花びらが風に舞い、夜の闇に溶けていく。
あなたの好きな人の名前はそっとあなたを抱きしめた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!