ざわめく水面に、時おり笑い声が跳ねる。
明るい陽射しの下、数人の男女たちが
それぞれ泳いだり、プールサイドでくつろいでいた。
タオルで汗を拭っていたきんときが、
ふと首をかしげた。
さっきまで一緒に泳いでたはずのなかむが、いない。
きんときの声に反応して、
近くにいたユリィが顔を上げた。
ユリィがプールの中をぐるりと見渡す。
その瞬間、ユリィの目が鋭くなった。
浮かれていた空気が、急に張り詰める。
きんときの声には、わずかに震えがあった。
室内に緊張が漂う。
シノカとなかむの行方不明。事態は急を要していた。
2人が真剣な眼差しで言い放つ。
カノンは一瞬驚いたように目を見開くが、
すぐに笑顔を作って頷いた。
プールの喧騒が遠のいていく。
ユリィはスマホを睨んだ。
GPSの反応は微弱だが、確かにそこにある。
レイが隣で息を整えながら呟く。
端末を見つめながら、レイが足を止めた。
舗装された廊下の突き当たりには、
「関係者以外立入禁止」の立て札と、半分開いた鉄扉。
冷たい風が、地下から吹き上げてきている。
レイが振り返ると、
背後のユリィはすでに長巻を手にしていた。
金属の柄に細工された護符が、
かすかに光を放っている。
ふたりはアイコンタクトを交わし、
鉄扉の奥へと進み出す。
足元はコンクリの階段。地下へと続く道は、
湿気と古びた鉄の匂いに満ちていた。
照明は少なく、天井に並ぶ蛍光灯もちらちらと明滅している。
ひたり、ひたりと、足音だけが反響する。
また、蛍光灯がちらちらと明滅した。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。