I.N SIDE
他愛無い会話、というのが思いつかなくて、
しばらく沈黙が流れた。
車に乗ってから、なんとなく気まずくて、
マネヒョンが僕らの曲を爆音で流し始めたんだけど、
今までの曲は全部ウジナヒョンのパートが絶対あるわけで。
『MIROH』のウジナヒョンのパートでぴくっとあなたの肩が跳ねた。
ミラー越しにそれに気づいた、助手席のチャンビニヒョンがプレイヤーの音を消す。
これ以上あなたに曲を聴かせたくなかったのか、
この空気感が耐え切れなかったのか、チャンビニヒョンが口を開く。
その言葉に一同は驚愕。
ハニヒョンなんかは『えぇ?!』と大きな声を出している。
自分で言うのも何だが、珍しく僕も興奮気味に声を荒げる。
時折、こんなパワーワードを笑顔で放つヒョンが怖い。
だが、そんなハニヒョンが面白かったのか、
あなたは少しだけ、口角を上げた。
多分それに気づいたのは僕しか居ないと思う。
そんなあなたの第一笑顔は、僕の心のフォトフォルダに仕舞われた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。