Lee Know SIDE
会議室を出る。一人分増えた、いや、戻ったといってもいいかもしれない足音と共に、
地下駐車場に向かう。
なんとなく話しづらい。
いっそのこと俺が最初に口を開いてしまおうか、そう思ったとき。
あなたがぼそっとなにかを呟いた。
よく聞こえなかったチャニヒョンと俺は、聞き返す。
廊下に響き渡った、可愛らしい顔だけ見ると意外な、少しハスキーめな声。
その言葉を理解したハニは、即座にフォローを入れる。
俺もあなたがこのグループに必要じゃないとは思わない。
あなたが入ることによって、ナムジャSTAYもヨジャSTAYも増えるだろうし、
なにより年齢層が広がると思う。
でも、俺らが一番心配しているのは、『サセンによる被害』だ。
過去に、ビニの後を付いていって、ビニヌナとビニが、
イタリアンで食事をしているところを撮られて
ビニペンが押し入ってウェイトレスさんを怪我させたことがある。
そいつは接触禁止命令が下った訳だが、正直言って、姉で攻撃されるなら
メンバーはどうなんだろう、
そんないやな考えが過ってまた黙り込んでしまう。
チャンヒョンに目を向けると、心配そうな目であなたを見ている。
やっぱり男子多数に女子一人は上手くやっていけないのだろうか。
そんなことを考えているとあっという間に地下駐車場に着いた。
マネヒョンにあなたが手招きされる。
マネヒョンが、空気を察知して明るくしようと大きな声を出す。
そのなかで、
と手を元気に挙げてしまったハニに、みんなが目を向ける。
そんな中、チャニヒョンが口を開く。
イエナは、どこからそんな勇気が出てくるのかと思うくらいにっこにこの笑顔で
といって、あなたの頭や顔を、パンになるんじゃないかと思うくらいこねくり回している。
そんな微笑ましい二人を横目に俺は運転席に黙って座る。
今の俺のレパートリーの中には、安心させてあげられる言葉、というのが
これしか思いつかなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!