ピンポーン
桂小太郎。俺、あなたはコイツと松下村塾で知り合い、攘夷戦争を共にした仲だ。
天然、というにはどうにも行き過ぎている小太郎はまぁ……面白いのだが。
馬鹿過ぎて心配。
あっ、と今更気づいたみたいに辺りを見渡す小太郎。
その挙動1つ1つで揺れる黒髪が――マジで綺麗。もう怖い。
ねぇ、女子なんだよね。もう女子なんだろ?
ちょっと前に■■■なお店に嬉々として入るエリーみたいな何かを見たんだよな。
何て、小太郎に言える訳ねェわ。
何気にコイツも純粋と言うか……。
あれでも、人妻が好きなんだっけ。
応接間のソファーに向かい合わせに座ってお茶を飲む俺と小太郎。
小太郎が持ってきた和菓子をちまちま食べながら、ほっと息を付いた。
……なァんか調子狂うな。
コイツいつもこういうの言わないのに。
思わず面食らって俯く。
俯いて小太郎から視線を離していると、俺の隣に小太郎が移動してきた。
俺の髪を指で掬いながら、小太郎は優しく微笑んだ。
……その艶やかな感じに思わず、びくっとする。
それから少し髪を弄ばれていたのだが、急に小太郎が――
俺の事を抱き寄せた。
俺の問いかけには答えずに、小太郎は俺の肩へと顔を埋める。
理解が追い付かず、ただされるがままになっている俺の頭を撫でる小太郎。
それから少し小さな声で言った。
ゆっくりと俺から離れて、小太郎はまたあの優しい笑顔を俺に向けた。
あまりに突然な事で脳が停止する。
松下村塾の時も。
攘夷戦争の時も。
再会してからも。
小太郎は1回もそんな素振りを見せなかったのに。
少しづつ遠くなる小太郎の背を見ながら、俺は煙草を燻らせる。
職務放棄。まァ別にいいだろ、今日休みだし。
……あーもう。なんかこれだと俺だけが変に意識してるみたいじゃねェかぁぁぁぁぁ!











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。