第58話

第44話
384
2026/02/21 10:28 更新



数日後。

実行委員の準備で、体育館裏に資料を取りに来た帰り。

廊下の角を曲がった瞬間。


あなた



奏の友達三人と鉢合わせた。

派手めで、目立つ子たち。

視線が一斉にあなたに向く。


mob.
伊波くんの彼女だよね?



にこっと笑う。

でも目は笑っていない。


あなた
……はい
mob.
ねえ聞いた?
伊波くんって奏の元カレなんだって
mob.
知ってる〜



くすくす笑う。

胸がざわつく。


mob.
やっぱさ



1人がはっきりと言う。


mob.
正直奏の方が似合うよね



心臓が、どくんと鳴る。


mob.
だって元々あの二人お似合いだったし
mob.
美男美女って感じ〜!!
mob.
今の組み合わせってなんか…



言葉を選ぶふりをして。


mob.
普通?



空気が、少し冷たくなる。

あなたは何も言えない。


mob.
伊波くんってさ、人気あるじゃん
mob.
隣立つなら、それなりの子じゃないと
mob.
ね?



笑顔のままの圧。


胸の奥がじわっと痛む。


――私なんて。


頭の中で、その言葉が繰り返される。


奏は可愛い。

華があって。

自信があって。


私は。


特別でも、目立つわけでもない。


あなた
ごめん、ちょっと急いでるから



小さく頭を下げて、通り過ぎる。

背中に刺さる視線。


mob.
ほら、やっぱり弱そう
mob.
奏の方が絶対いいのに



その声が、はっきり聞こえた。

角を曲がった瞬間。

足が止まる。

喉がきゅっと締まる。

泣きそうになるのを必死に堪える。

――分かってる。

そんなの、分かってる。


inm
あなた?



振り向くと、ライ。


inm
どうした?
あなた
…なんでもない



笑おうとする。

うまく笑えない。

ライは一瞬、眉を寄せる。


inm
顔、変
あなた
変ってなに



強がる。

でも。


inm
誰かになんか言われた?



核心を突く声。

あなたは、目を逸らした。

言えない。

言ったら。

“奏の方が似合う”

その言葉が、現実になりそうで。


あなた
ほんとに、なんでもない



無理に笑う。

ライは少しだけ黙ったあと。


inm
俺の彼女は、あなただけ



低く、はっきり言った。


inm
それ以外、興味無い



一瞬、呼吸が止まる。


あなた
……でも



小さく漏れる本音。


あなた
私、奏さんみたいじゃない



ライは少しだけ目を細めた。


inm
なる必要ない
inm
俺が選んでんのはあなただから



強い声。

まっすぐな目。

胸の奥が、熱くなる。

でも。

取り巻きの言葉は消えない。

笑顔を作る。


あなた
……ありがと



まだ少し、揺れている。


その揺れが。


次の波を呼ぶなんて、

この時は思っていなかった。














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