数日後。
実行委員の準備で、体育館裏に資料を取りに来た帰り。
廊下の角を曲がった瞬間。
奏の友達三人と鉢合わせた。
派手めで、目立つ子たち。
視線が一斉にあなたに向く。
にこっと笑う。
でも目は笑っていない。
くすくす笑う。
胸がざわつく。
1人がはっきりと言う。
心臓が、どくんと鳴る。
言葉を選ぶふりをして。
空気が、少し冷たくなる。
あなたは何も言えない。
笑顔のままの圧。
胸の奥がじわっと痛む。
――私なんて。
頭の中で、その言葉が繰り返される。
奏は可愛い。
華があって。
自信があって。
私は。
特別でも、目立つわけでもない。
小さく頭を下げて、通り過ぎる。
背中に刺さる視線。
その声が、はっきり聞こえた。
角を曲がった瞬間。
足が止まる。
喉がきゅっと締まる。
泣きそうになるのを必死に堪える。
――分かってる。
そんなの、分かってる。
振り向くと、ライ。
笑おうとする。
うまく笑えない。
ライは一瞬、眉を寄せる。
強がる。
でも。
核心を突く声。
あなたは、目を逸らした。
言えない。
言ったら。
“奏の方が似合う”
その言葉が、現実になりそうで。
無理に笑う。
ライは少しだけ黙ったあと。
低く、はっきり言った。
一瞬、呼吸が止まる。
小さく漏れる本音。
ライは少しだけ目を細めた。
強い声。
まっすぐな目。
胸の奥が、熱くなる。
でも。
取り巻きの言葉は消えない。
笑顔を作る。
まだ少し、揺れている。
その揺れが。
次の波を呼ぶなんて、
この時は思っていなかった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。