第6話

♯5
3,552
2021/06/08 11:43
『無個性だよ。』


そう言った天鬼の顔は気味が悪いほどに笑顔だった。


「む、無個性……!?」

切島が驚いたように呟く。

他のみんなも同様に、ありえないと言った顔をしている。


『そんなにおかしいかな。…ああ、そうだった!』


『この世界では無個性って馬鹿にされるものなんだっけ。』

笑顔とは裏腹に、氷のように冷たい声に、全員は黙るしか無かった。


「…だが、無個性だったら推薦はありえないと思うんだが。」

沈黙を破ったのは、推薦入学者の轟。

"ありえない"

その言葉を聞いた瞬間、天鬼は顔を歪めた。


『……うん、そっか。そうだね。』


「ありえねーだろ、無個性の雑魚が!!」


『──初日だが、やっぱり・・・・私は君達が嫌いだ。』


天鬼はそれ以上口を開くことは無かった。


「(嫌いって……じゃあなんでここに来たんだろう…)」


天鬼の傍から離れた後も、天鬼を除いて全員が話をしていた。




「お友達ごっこしたいなら他所へいけ。ここはヒーロー科だぞ。」


どこからともなく声が聞こえてきて、緑谷と麗日が下を向くと、


「(なっ…なんかいるぅぅぅ!!!)」


「担任の相澤消太だ。よろしくね。」


『(プロヒーロー……)』


「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ。」

相澤が寝袋の中から体操服を取り出し、言った。


『(普通の高校の最初の行事を全部すっ飛ばすってか。)』


天鬼がじっと相澤を見ていると、相澤は小さく会釈をしてきたので、天鬼も返した。


『(更衣室行くかぁ…。)』

天鬼は誰にも気付かれずに、更衣室へ向かい、誰よりも早くグラウンドに来ていた。


そこには先程も見た相澤先生がいた。


「どうも。鬼殺隊の方ですよね。」

『まあ、はい。ですが学校内では教師と生徒の関係ですので、他の生徒と同じ扱いをして下されば大丈夫ですよ。』

「…そうか。なら好き勝手呼ばせてもらう。」

『はい。』

相澤と会話をしている天鬼はあまりにも大人びており、もう立派な大人じゃないかと、相澤は思った。

天鬼は教師からしても異質な存在となっていた。


『(遅……。)』


数分後、ぞろぞろと皆が集まってきたが、天鬼とは話そうとしなかった。

それが天鬼には好都合なのだが。


余談ではあるが。


天鬼が更衣室へ行くまで、あの爆豪が話しかけてきたのだった。


初め、天鬼は露骨に嫌そうな顔を隠そうともせず、振り返った。

『なんだい、爆豪君。』

「チッ…その呼び方やめろや。……お前、さっきヒーロー嫌いとか言ってただろ。」

『そうだけど、問題はある?』


「…何が理由でヒーローが嫌いなのか、何でここに来たのかは知らねーが、」







「俺はお前に、推薦ってだけで強いと思われる奴に負けるつもりはねぇぞ。」

そう言う爆豪の目には、闘志がメラメラと燃えていた。


天鬼は、嫌いだと思った。


『ああ、こちらも負ける気はない…というか、』


































『負ける気がしない。』





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作者(不詳)
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なかなかお気に入り伸びない……( ・᷄ὢ・᷅ )
作者(不詳)
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あ、それと、新作見てくれる方だけでいいんですが、アンケート取ります!

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