第3話

第2話
170
2026/04/15 12:19 更新
遠くから誰かの声が聞こえる
宮治
あなたの下の名前
ぼんやりと、意識の奥に響く。
宮侑
あなたの下の名前、朝やで
少しだけ近くなった。
宮治
あなたの下の名前そろそろ起きろ
だんだんうるさくなってきて——
宮侑
橘あなたの下の名前!!起きろって言うてんねん!
あなた
……んん…
重たいまぶたをなんとか開けると、目の前に二人の顔。
宮治
やっと起きたか
宮侑
遅すぎやろ
あなた
…おはよ
ぼんやりしたままそう言うと、
宮治
おはようさん
ぽん、と頭を撫でられる。

侑にも、同じようにくしゃっと撫でられて。
あなた
…やめてよ
そう言いながらも、少しだけ笑ってしまう。

こういうのには、昔から慣れている。







身支度を整えて、制服に袖を通す。
あなた
おー…
鏡の前で、少しだけ立ち止まる。

初めてきる稲荷崎の制服が新鮮で——
あなた
いい感じじゃん
ほんの少しだけ、気分が上がった。
宮侑
ほな、行くで
宮家のお母さん
3人ともいってらっしゃーい
あなた
いってきまーす!
三人で家を出る。

朝の空気は少しひんやりしていて、でも心地いい。
宮治
なあ
宮治
あなたの下の名前ってクラスどこだったん?
あなた
えっと…2年1組
そう答えた瞬間、
宮治
まじで!?一緒やん!
宮治
よっしゃ
宮侑
はぁぁぁぁあ!?
宮侑
なんっでやねん!
宮侑
俺2組やねんけど
宮治
ざまぁ
宮侑
調子乗んなや!サム!
朝から騒がしい。

でも——
あなた
(ちょっと楽しい)






学校に到着しあなたの下の名前は転校生なので職員室へ

行き先生とのお話があるので廊下でバイバイした
ガラッ──────
あなた
失礼します。転校生の橘です
先生
あー橘さん!
先生
ようこそ稲荷崎高校へ
先生
私が担任の林です
あなた
よろしくお願いします
先生
よろしくね
先生
さっそく今から教室に向かうけど準備はええ?
あなた
あ、はい!
先生と一緒に教室へ向かう。

ガラッ——

扉を開けると、一斉に視線が集まった。
あなた
(…やっぱり緊張するな)
先生
はーい、席ついてー
男子
誰あの子
女子
しらなーい
女子
転校生かな!?
先生
じゃあ自己紹介おねがいね
あなた
はい
あなた
東京から来ました橘あなたの下の名前です。
あなた
よろしくお願いします
男子
べっぴんさんやな
女子
髪の毛サラッサラ!後でケア方法教えてもらお
先生
じゃーあ角名くんの後ろに座ってね
あなた
あ、はい
角名倫太郎
よろしくあなたの下の名前ちゃん
あなた
よろしく、角名?くん
あなた
(チベスナみたい)
角名倫太郎
今チベスナみたいって思ったでしょ
あなた
Σ( •  • ;)ギクッ
あなた
いやーぁ別にー
角名倫太郎
嘘丸出しww
宮治
(もう、仲良くなっとる)
角名倫太郎
てか呼び捨てでいいよ
あなた
わかった!じゃあ自分のことも呼び捨てで
角名倫太郎
わかったあなたの下の名前
あなた
ドキッ!!
あなた
(こいつやりよる)
あなた
(メロ男代表じゃんこんなん)





休み時間。
女子
橘さん!
クラスの何人かに声をかけられる。

質問攻めにあいながらも、なんとか答えていく。

やっと質問攻めを乗り越え少しだけ一息つく
あなた
(つ、疲れた)
机に軽く突っ伏しそうになった、そのとき。
角名倫太郎
おつかれ
宮治
あなたの下の名前やっぱ凄いな
2人が声をかけてきた
宮治
でさ今日の放課後空いとる?
あなた
え?
突然の質問に、顔をあげる
あなた
まあ、特に予定はないけど
宮治
ほな、決まりやな
あなた
え、なにが?
角名倫太郎
バレー部きて
一瞬、言葉の意味を考える。
あなた
見学?
宮治
ちゃう
宮治
マネージャーやって
あなた
えー
あなた
なんで急に
角名倫太郎
人足りてないんだよね
角名倫太郎
マネージャーに入りたいっていう女子は沢山いるんだけど
角名倫太郎
みんな宮兄弟の顔目当てだからバレーのこと全然しらなくて
角名倫太郎
仕事が出来ない人ばっか
宮治
仕事もろくに出来んのに喧しくてイライラしてんねん
あなた
あーーそれは大変だこと
宮治
だから、な?おねがい!
あなた
うーん
宮治
前の学校でもやってたんやろ?
あなた
まーそうだけど
あなた
(マネージャーやったらいつか音駒に会えるかな)
あなた
わかったやる!
角名倫太郎
え?ほんとに?
あなた
うん
宮治
やったぁぁぁあ
宮治
あなたの下の名前がおったら力強いわ!
あなた
でも今日は見学だけでもいい?
角名倫太郎
うん、いいよ
角名倫太郎
北さんにも、もう連絡とった
宮治
はや











放課後。

体育館の前に立つ。
宮治
緊張しとる?
横から治が聞く。
あなた
…ちょっとだけ
宮治
大丈夫や
軽く頭をぽん、とされる。
宮治
俺らがおる
その一言で、少しだけ力が抜けた。
あなた
…うん、そうだね!
扉に手をかける。

新しい場所で。

もう一度——

自分の居場所を見つけるために。

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