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食事中もライフさんとコニー先輩は言い合っていて、
私達はそれを眺めながら食事をとっていた。
何をどう過ごしたらあんなに嫌味が出てくるのか……
飛び交っている皮肉をなんとなく見ていたキティが、
メインデッシュを取り終えて、デザートを食べている時に私に話しかけた。
私が苦笑いで返すと、キティがゼリーを置いて、
コニー先輩たちにおずおずと話しかける。
そこから数秒黙るキティ。あ、話題考えてなかったんだ……
「は?」とライフさんが不機嫌そうに顔を顰める。
やっと思いついたのか、キティが慌ててライフさんに質問を振る。
ライフさんが、ナイフを持った手の甲に顎を乗せて、
うーーんと悩んでいる素振りをする。
たしかに、ライフさんはVランクってことは、
それくらい数多くのアブノーマリティを相手にしてきたってことだ。
これからこの会社で働く上で、参考になるかもしれないし、
自分も個人的にかなり興味がある。
まだ知れているアブノーマリティは少ないし……
まだ実験体として新しいアブノーマリティの相手はしていないし、
色んなアブノーマリティの特徴ら共通点から好む作業を割り出すことができるかもしれない。
そうなれば予測が幾らか難しく無くなってくる。
私も少し身を乗り出したところで、ライフさんが「んー」と零す。
ライフさんがナイフを立てて、ニヤリと笑う。
コニー先輩がピクッと反応したように見えたが、気にせず食事を続けていた。
ライフさんが頭を掻いてコニー先輩を睨む、
たしかにはっちゃけてる割にはマナーとかちゃんとしてるな……
わざと悪くしているように見えるけど……動作も違和感がない。
これで良いとこ育ちじゃないのか……裏路地でもちゃんと教育していればまともに育つのかな?
キティがうずうずと、ライフさんに向けて期待の眼差しを向ける。
正直言うと私も気になる、''悲劇''だなんて言われて止められたら、
誰だって続きが気になって仕方がないだろう。
キティがずっと興味津々そうにしていたからか、
ライフさんがとうとう折れて渋々口を開く。
ライフさんが知らんぷりのコニー先輩に呆れて、
とうとうその『触れてはならない』というアブノーマリティについて話し出す。
ライフさんがキティを脅かすように言い、
キティが頬を膨らませてケラケラと笑うライフさん。
ライフさんがわざとらしく恐ろしそうに言うのに、
キティがすっかり緊張したように、ゴクリと唾を飲む。
キティって多分感情移入しやすいタイプだな……私もだ。()
「そそ」とライフさんが頷いて、マッシュポテトを突く。
一口分すくって口の中に入れた後、手の甲で口を押さえながら興味が失せたように言う。
ライフさんがニヤッと口角を上げるのに、特大ダメージを喰らったような声を出す。
仮に押したとして、どのように恐ろしいことが起きるんだろう……
知りたい気持ちはやっぱり山々だけど、もう散々痛い目に会ったから、
さすがに大人しくしていないと、次こそ会社から摘み出される。
その時、食堂に警報音とアナウンスの音が鳴り響いた。
あ、アブノーマリティが脱走したのかな……?
でもアブノーマリティ脱走とは言ってないような……?
「なんのアブノーマリティだろう?」と最後の一口を口に運ぼうとした──
──その時だった。
アナウンスの声も、たしかにいつもより急かしているような、
焦っているような声色で放送をしていた。
最後の一口を口に入れた瞬間、その放送を聞いて危うく口から出しそうだった。
さきほどのライフさんの言葉を聞いた後だったからか、
事態の深刻さに気づいて、全員が呆然としている。
ライフさんが気まづそうに口を開く。
すると、すぐにコニー先輩が立ち上がって、
トレーを持って私に目を向ける。
コニー先輩に微笑みかけられて、めんどくさそうに、
同じようにライフさんも立ち上がる。
アシェル達も慌てて、コニー先輩に話しかける。
食堂に居た人たち全員が、緊張に呑まれた様子だった。
教育チームの収容室付近に着くと、
すでに何人かのエージェントが到着していた。
全員かなり焦っている様子で、
一番奥の扉をガンガンと叩いている。
そこには他のVランクの人たちもいて、
全員焦燥感に駆られている様子だった。
全員が一つの収容室に向かって、散々武器で乱暴に叩いたり、
無理矢理こじ開けようと奮闘していた。
ガヤガヤと群がる職員の隙間からドアを捉え、
ドアについたガラス窓から、中の収容室に人影を目に捉えた。
まさか、あれが仮に「触れてはならない」の収容室だとしたら……
──中の人は、ボタンを押そうとしている?
キティに誘われて、私たちも参戦する。
持っている武器といえば初期の警棒だけど……ただ何もしないで眺めているよりかはマシだろう。
──しかし、時はすでに遅しで、もう間に合わなかった。
中にいる職員が、朦朧とした意識の状態で、
ボタンの上に手を添える。
それを見たエージェント達がパニックになり、半狂乱状態で叫ぶ。
カチ。
──職員がボタンを押す音が、はっきりと聞こえた。
その瞬間だった、それを合図だと言うように、
脳内に今まで経験したことが無いくらいの激痛が走る。
一瞬で意識が飛びそうなくらいの痛みに、
耐えられなくなってその場で膝から崩れ落ちる。
それは私だけじゃなく、その場にいる職員全員だった。
全員が頭を押さえて、その場でよろめく。
頭が割れそうだ、痛い、痛い……
頭が痛い、頭が──
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
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痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
激痛が伴う中で、何かが目から溢れて頬を伝う。
痛さのあまり涙を流したのか──そんな事を考える思考も無かった。
脳内が痛みで侵食される中、震える指でその液体に触れてみる。

半開きになった視界で、それを見る。
ねっとりとした、生暖かいものが指に付着している。
今にも目だけじゃ無い、鼻からも、口からも……
全身のあらゆる穴から、流れている。
どろりとした血液が、べっとりと手に付着していた。
目を見開くと、横で壁にもたれかかっていたキティが悶絶をあげる。
なんとか近くの壁に寄っかかったおかげで、倒れずに済んだらしい。
痛覚のせいで意識を失いかけている私に、キティがはっとする。
キティの目からも血涙が流れていて、頭を打ったように頭からも血が流れていた。
辺りが血の海で溢れる中を、
キティが蹌踉めきながら私に手を差し出そうとする。
キティが壁から離れた瞬間、後ろに人影が立った。
キティが振り返るのと同時に、キティの左肩に何かが振りかぶった。

キティの左肩から腹にかけて、
大きく切れ込みが入り、体を斬りつけられる。
傷口から一気に血が噴き出し、「かはっ」とキティが吐血する。
私の精一杯の叫びも虚しく、キティが大きな重傷を負ってその場に倒れてしまった。
キティを斬りつけた──ノアと目が合う。
『O-05-47』「触れてはならない」 キャラデザ

鈴ノ音様、素敵なファンアートをいくつもありがとうございます❣️🙌




作者です。
ライフとコニー先輩の掛け合いが個人的にお気に入りです。
こら!!ライフちゃんそうなこというからフラグになったじゃないの!!
まあでも面白い展開になってきましたね(ゲス)
血の色は何にしようかな〜と思った末、結局定番の赤にしました。
これR指定してないけど大丈夫……だよね……?(震声)
最近のアニメじゃこんなの普通だしいっか、某アニメや漫画みたいに。
あくまで指定してるRはエロの方だよね!!??ね!!!????
とまぁひとまずこれは置いておいて、読書さんの反応が楽しみですゲッヘゲッヘ。
それでは。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。