第3話

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2025/02/09 09:47 更新
有馬かな
ようこそ、陽東高校へ
有馬かな
歓迎するわよ、後輩
日差しが降り注ぐ中、見覚えのある人物が立っている。
あなた
かなちゃん久しぶり
あなた
えっと...よろしく...?
有馬かな
相変わらず感情の起伏が薄いわねアンタ
ルビー
よろしくねーロリ先輩!
有馬かな
いびるぞマジで
有馬かな
全部とは言わないけど、姉のテンションを少しは見習いなさい
あなた
善処しようかな...
有馬かな
そういうところは兄に似たのかもしれないわね、アクア?
アクア
そりゃ三つ子だからな。どっかは似るだろ
アクア
まぁいいや、妹たちをよろしく頼む
ルビー
もうお兄ちゃんシスコンなんだから〜
口で笑みの形を作りながら、賑やかな会話を眺める。

かなちゃんこと有馬かなとは、幼い頃に出会った。

五反田監督にアイの主演の条件として映画に出演した時に初めて出会って、とんとん拍子に決まった次の作品の撮影で、2度目の再会を果たしたのだ。

彼女の役は明るく天真爛漫な女の子。
私の役はそれに対するように暗く淀んだ、希望を失った女の子だった。

今でもよく覚えている。
目が焼けそうなくらいに眩しい『太陽』の演技。
穢れを知らないような、純粋無垢さが全面に発露した、アイとは違ったベクトルの魅力。

演技力で隣に並ぶことなんて到底出来なくて、だから私はあの時、を思い出すことにした。
暗く淀んだ世界と、希望の一欠片も見当たらない絶望感。
世界の重圧、ぼんやりと滲み出る希死念慮。
だんだん心が重くなるのを感じながら、ゆっくりその気持ちを体に、声に乗せた。

そういうこともあって、
【『太陽』の有馬かな、『月』の星野あなたの下の名前】
なんて大層な名前を付けられた対比構造で有名になったから、かなちゃんに誘われるまま、そのまま本格的に芸能界入りしたんだっけ。

有馬かな
ちょっとあなたの下の名前、聞いてんの?
あなた
え、あ、
過去を思い出していれば、かなちゃんの声がする。

少し回想に浸りすぎていたようだ。
あなた
ごめん、少しぼんやりしてた
有馬かな
ほんっとマイペースね
あなたの下の名前らしいわ、と肩をすくめるかなちゃん。
ルビー
あ、お兄ちゃん、あなたの下の名前、そろそろ時間だよ!
アクア
あぁ、そうだな
アクア
じゃあ有馬、俺たちはこれで
あなた
またねかなちゃん
有馬かな
えぇ、また。
ひら、と手を振るかなちゃんを後に、私たちは校舎に向けて歩き出した。

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