日差しが降り注ぐ中、見覚えのある人物が立っている。
口で笑みの形を作りながら、賑やかな会話を眺める。
かなちゃんこと有馬かなとは、幼い頃に出会った。
五反田監督にアイの主演の条件として映画に出演した時に初めて出会って、とんとん拍子に決まった次の作品の撮影で、2度目の再会を果たしたのだ。
彼女の役は明るく天真爛漫な女の子。
私の役はそれに対するように暗く淀んだ、希望を失った女の子だった。
今でもよく覚えている。
目が焼けそうなくらいに眩しい『太陽』の演技。
穢れを知らないような、純粋無垢さが全面に発露した、アイとは違ったベクトルの魅力。
演技力で隣に並ぶことなんて到底出来なくて、だから私はあの時、前世を思い出すことにした。
暗く淀んだ世界と、希望の一欠片も見当たらない絶望感。
世界の重圧、ぼんやりと滲み出る希死念慮。
だんだん心が重くなるのを感じながら、ゆっくりその気持ちを体に、声に乗せた。
そういうこともあって、
【『太陽』の有馬かな、『月』の星野あなたの下の名前】
なんて大層な名前を付けられた対比構造で有名になったから、かなちゃんに誘われるまま、そのまま本格的に芸能界入りしたんだっけ。
過去を思い出していれば、かなちゃんの声がする。
少し回想に浸りすぎていたようだ。
あなたの下の名前らしいわ、と肩をすくめるかなちゃん。
ひら、と手を振るかなちゃんを後に、私たちは校舎に向けて歩き出した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!