甲斐「おい、どこ行くんだよ」
速水『どこって…トイレだけど』
甲斐「……そうか」
速水が教室を出ると、茅野も後を追うように教室を出た
その姿を諏訪は、様子を伺うように見ていた
茅野は女子トイレに入ろうとする速水を呼び止めた
茅野「佑衣ちゃんっ」
速水『なに?トイレ行きたいんだけど』
速水は振り向こうとはせず、冷たくそう言った
茅野は影山から貰った青いハンカチを握りしめ、言葉を続けた
茅野「佑衣ちゃんは誰が犯人だと思うの…?」
速水『…知らない。興味ないし。』
茅野「だってさっき、里見くんのこと…」
速水『あれは別に思ったこと言っただけ。里見が撮ったっていう証拠も、撮らなかったっていう証拠もないでしょ』
茅野「でも…」
速水『もういい?トイレ行きたくて来たの。あんたと話す為に来たんじゃない』
茅野「でも、佑衣ちゃん、本当は澪奈と仲良かったでしょ…?」
その言葉に速水は動きを止めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!