あなたちゃんと二人、涼しい風に
煽られながら、夜空に咲き誇る花火を見た。
ふと、彼女の方を見ると、
いつにも増して、寂しげな表情を浮かべていて。
余りの儚い雰囲気に、
なんだか、胸の奥が痛んだ。
緊張のあまり、あなたちゃんから
視線を逸らして、花火を見た。
一瞬で、数秒のうちに、
空に昇って、輝いて、そして弾け散る。
それを繰り返すその様は、
まるで俺を応援しているように見えて。
人間の俺が、男の俺が、
頑張らなくてどうするって思ったら、
なんだか馬鹿馬鹿しくなってきて。
ひと思いに、想いをぶちまけた。
頭を下げて、手を伸ばした。
手を取ってくれることを、願っていた。
… でも、手を取ってくれることはなくて。
結局、顔を上げるよう
促す言葉が掛けられるだけだった。
緊張しながら、彼女の顔を見た。
正直言って、ものすごく後悔した。
だって、とても辛そうな顔をしていたから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!