一瞬で、絶望のどん底に叩き落とされた。
終わったんだ、俺の初恋。
これから途切れてしまうんだ、俺の想いは。
はっとして、顔を上げて改めて彼女を見た。
清々しい程の、無理矢理な作り笑いに、
困ったときの、前髪を弄る仕草。
ああ、本当に終わってしまったんだ。
振られちゃったんだな、俺。
あまりに唐突な言葉に、思わず固唾を呑んだ。
戸惑うことしかできない俺とは対照的に、
彼女はやけに落ち着いていて、
風に吹かれる浴衣の裾だけが揺れ動いていた。
彼女がよく見せた、どこか悲しく、寂しげな瞳。
彼女がよく纏っていた、儚くて切ない雰囲気。
そして、寂しげな微笑みに、
決意を決めたかのような、芯のある表情。
今までのことが全て、点と点で繋がった。
全部全部、これのせいだった。
彼女が寂しげだったのは、
思い出のあるこの町との別れを嘆いていたから。
もしも、もしも引っ越しさえしなければ。
せめて、もう少し長く この町にいてくれたら。
今の俺でも、ほんの少しばかりの
可能性ぐらいは、あったのだろうか。
そう言って笑った彼女は、
花火よりも何よりも、美しかった。
ああ、やっぱり好きだ。
目を細めて、真っ直ぐに見つめて
笑ってくれるところも。
少しだけ頬を染めながら、
困ったように、こちらを見つめるその癖も。
後ろで 控えめに手を組む、
その仕草も。
全部が愛おしくて、全部が諦められなくて。
… やっぱり俺は、彼女の沼からは
抜け出せないらしい。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!