第9話

# . 真相
46
2026/05/20 08:00 更新


 # . br
( … あ、 )



  一瞬で、絶望のどん底に叩き落とされた。

  終わったんだ、俺の初恋。
  これから途切れてしまうんだ、俺の想いは。


 # . br
 や、全然 … 、ごめ ── 

 # . あなた
 べるくん 



  はっとして、顔を上げて改めて彼女を見た。

  清々しい程の、無理矢理な作り笑いに、
  困ったときの、前髪を弄る仕草。

  ああ、本当に終わってしまったんだ。
  振られちゃったんだな、俺。


 # . あなた
 私ね、引っ越すんだ 

 # . br
 … え? 



  あまりに唐突な言葉に、思わず固唾を呑んだ。

  戸惑うことしかできない俺とは対照的に、
  彼女はやけに落ち着いていて、
  風に吹かれる浴衣の裾だけが揺れ動いていた。


 # . あなた
 夏休み終わったら、引っ越すの 

 # . あなた
 厳密には、夏休みの最終日に 
 この町から出てくんだ



  彼女がよく見せた、どこか悲しく、寂しげな瞳。
  彼女がよく纏っていた、儚くて切ない雰囲気。

  そして、寂しげな微笑みに、
  決意を決めたかのような、芯のある表情。

  今までのことが全て、点と点で繋がった。
  全部全部、これのせいだった。

  彼女が寂しげだったのは、
  思い出のあるこの町との別れを嘆いていたから。


 # . br
 … そっ、か 



  もしも、もしも引っ越しさえしなければ。
  せめて、もう少し長く この町にいてくれたら。

  今の俺でも、ほんの少しばかりの
  可能性ぐらいは、あったのだろうか。


 # . あなた
 … 寂しいけど、楽しみでもあるの 

 # . あなた
 新たな町に、人に、
 ワクワクしてる自分がいて 



  そう言って笑った彼女は、
  花火よりも何よりも、美しかった。

  ああ、やっぱり好きだ。

  目を細めて、真っ直ぐに見つめて
  笑ってくれるところも。

  少しだけ頬を染めながら、
  困ったように、こちらを見つめるその癖も。

  後ろで 控えめに手を組む、
  その仕草も。

  全部が愛おしくて、全部が諦められなくて。

  … やっぱり俺は、彼女の沼からは
  抜け出せないらしい。


 # . br
 頑張って、応援してる 

 # . あなた
 ありがとう、べるくん 






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