第4話

# . 潮の香
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2026/05/15 08:00 更新


 # . あなた
 ほら、ついたよ 

 # . br
 わぁ … ! 



  彼女に連れられ、体感30分近く歩いた。

  目の前に広がるのは、
  地平線まで続く、青く澄んだ水だった。

  まるで、空と繋がっているようにも見える。
  空まで泳いで行けてしまいそうな … 。

  そう、これが ── 。


 # . br
 海だ … っ! 

 # . あなた
 ふふ、そんなに見たかったの? 

 # . br
 うん、すっごく憧れてたんだ! 

 # . あなた
 … ! 



  お爺ちゃんが好きになった理由が、
  なんとなくわかった気がした。

  視覚だけじゃない。
  岸に打ち付ける波の音、吹き抜けていく潮風、
  そして、強く印象に残る、潮の香り。

  思っていたよりもずっと、
  海という場所は、気持ちいい。

  手をティーの字に広げてみた。
  さっきよりももっと潮風を感じることができる。

  そして、ポーズが変わったおかげか、
  はたまた呼吸法が変わったおかげか、
  さっきよりももっと潮の香が強くなった。


 # . あなた
 どぉ、気持ちい? 



  片手で帽子を押さえながら、
  彼女は俺の方を向いていた。

  海を満喫する俺の様子を見て、
  満足げに、でもどこか寂しげに微笑んでいる。


 # . br
 ── うん、そりゃあもう! 



  俺にできる、精一杯の笑顔で返した。
  いや、自然と、笑顔になれた。

  海って、こんなにもすごいものなんだ。
  恋って、こんなにもすごいものなんだ。

  きっと俺にとって、彼女の寂しげな表情は、
  この景色は、音は、感覚は、匂いは、
  一生忘れられないものになるだろう。

  だって、初恋の君と、
  一緒にみた初めての海なのだから。







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