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第1話

│ ︎︎Prolog ︎︎│
60
2026/05/15 06:41 更新

16年前。

ある一家に2人目の子供が産まれた。

兄も母も父も、涙を流しながら
喜んでいた。

驚くことに、妹の両頬には日本のアザが
記されており、世界初の4本線魔導師が
生まれたのだ。

兄は暖かい手で妹を抱き上げ、
妹はふにゃっと微笑んだ。

兄に芽生えた、妹を守りたい、
大切な妹とこれからも笑い合いたい。

両親はその光景を微笑みながら
眺め、この幸せが、ずっと続けばいい
と願うばかりだった。

しかし、その思いとは裏腹に、
黒い影がその一家を見つめていた。

両親たちは常に警戒しながら、
世間からの目がまだ怖い4本線魔導師の
妹を必死に隠していた。

この力が早いうちに世間に
バレてしまうと、この子がどんな目に遭う
のは計り知れない。

ある晩のこと。

兄は妹の寝室へ向かい、
妹を見つけると、隣に寝転んだ。

兄はなにか危機感を感じたのだ。

まだ14歳だった兄は、自身の杖を
握りしめながら、妹のそばで
眠りについた。

妹になにも危害がありませんように。
そう願いながら。





だがしかし、兄の思いとは程遠く、

その黒い影は姿を表した。

妹は魔法で外から開かれた窓から
浮遊魔法をかけられ、
家から出されてしまった。

窓の前には、

白く長い髪の毛を靡かせながら、
優しく生ぬるい手で妹を抱き上げる
男が1人。

微笑みながら娘の頬を撫でると男は、
満足気な顔で空へと飛んで行った。






翌朝。

兄は膝から崩れ落ち、泣きわめいていた。

両親も自分たちの警戒心の無さに
絶望し、兄の背中を撫でていた。

両親はその後、魔法局に通報を入れたが、
痕跡は一切なく、捜索は3年続いたが、
見つかることはなかった。

両親はすっかり生きることへの活力が
なくなり、枯れ木のようにどんどん
腐っていった。

妹がいなくなってから6年後。

兄が20になった年に、両親は
心の病で亡くなった。

兄はもうとっくに覚悟ができていた
ようで、悲しむ素振りは見せなかった。

なんと兄は神覚者になり、
妹を見つけ出すため、
世界をよりよくするために活躍していた。

世間からも妹の存在が
忘れ去られはじめていた頃、

1人の神覚者、砂の神杖が魔法局に
走っていた。

















妹を見つけ出したと言うのだ。

魔法局総員でその娘の元へ向かい、
勢いよく兄が扉を開けると、



















「……兄者……?」






そう言った瞬間、兄は勢いよく妹に
飛びつき、今までこらえ続けていた
涙を流しながら、

















「 そうだよ、
俺が 君の 、 お兄ちゃん なんだよ。」







そう言い、妹の顔を見ると、
妹は酷く困惑した顔をしつつ、

ほんの少し嬉しそうに、



















あなた
……私の、兄者……
なんですか……?


そう言った瞬間、

兄は唇を噛み締めながら、

















ライオ
お前の、……お前の、ッ、
お兄ちゃんなんだ……ッ、……!!
ずっとずっと、ッ、見つけてあげられ
なくて、……ッ、……
ごめん、……!!!


















そういうと、妹はこう言った。


















あなた
……じゃあ貴方は、

















あなた
何番目の兄者……なんですか。

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