第18話

体育祭編
114
2026/09/30 04:45 更新










「いつものやろうぜ!せーの!」








プラスウルトラ!!!!









一部を覗いたA組の声が揃う。









いよいよ待ちに待った体育祭ということで、活気を溢れさせるところのはずだが、輝夜涙は、ぼーっとしながら八百万にもらったお菓子を食べていた。












視界の端では、轟が緑谷にメンチをきっているが、興味なさげにお菓子を食べ続ける。













「オイ!!!天然女!!」









治安の悪い声に振り向くと、案の定爆弾さんがいた。







「編入だか推薦だか知らんがお前には負けねえからな!!!!!」








舐めたような真似すんじゃねえぞ!!!!と目を三角にして睨んでくる。





急な宣戦布告に一瞬きょとんとするけど、すぐ爆弾さんの瞳を見つめ直す。









「望むところだよ」









ねーお菓子ちょうだい、とねだると、キレながらもプロテインバーをくれる。












もらったプロテインバーをむしゃむしゃと咀嚼していると、轟さんが近づいてくる気配がして、顔だけ振り向く。











「輝夜……俺が勝ったらだるまさんが転んだしてくれるっていう約束まだ効いてるからな」











そう、あの帰り道の後、負けた方が勝った方のお願いを聞くという約束をしたのだ。












その後、ハッカ飴を彼に渡したのはまた別の話だが。











2人しか知り得ないその約束に、爆弾さんがさらに目を吊り上げる。












「んだよソレ!!!コロスぞ!!半分野郎も宣戦布告する相手間違ってんじゃねえ!!!」



「何がだ?」



「ちょ、ちょっと!輝夜さんが困っちゃうよ!」



「うっせえデク!!!」



「おいお前ら落ち着けって!!」



「待て切島!!そんな危ないとこに首突っ込むな!!」



「静粛にしたまえ諸君!!!」








男子は……………うるさいな。




















「飽きた」







そう言って女子陣の方へ向かう。







後ろからまた爆弾さんの治安の悪い声が聞こえてきたけど、気にしない気にしない。
















あーあ、お腹空いたなあ。











「プロテインバーじゃハッカ飴の代わりにはならないなあ」










そう小さく呟いてまた瞼を閉じた。
















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


















お茶子ちゃんと透ちゃんに起きて~!と両頬をつつかれながら、私はスタートラインに立った。












目の前のゲートには、ヒーロー科、普通科、サポート科、経営科の生徒がすし詰め状態になっている。














パァン!!!












爆音と共に、体育祭の幕が上がった。















一斉に怒涛の勢いで飛び出す生徒たち。
















「最初のふるい」











その瞬間、轟さんが冷気を放ち、地面全体を凍らせて周りの動きを止める。













「悪いが、これが先手だ」











轟さんが氷の上を滑るようにトップを駆け抜け、爆弾さんが調子こいてんじゃねえぞ半分野郎!!と爆破でそれを追う。













「……うーん、寒いのめんどくさいなぁ」











私はため息を吐きながら、おもむろに月の方角に向かって小さく手をかざした。




































『さーて実況してくぜ!!解説アーユーレディ!?ミイラマン!』




『無理やり呼んだんだろうが』









会場中に響く、プレゼントマイクと消太くんの声。











自己紹介が終わるとすぐに、プレゼントマイクの大声がスピーカー越しにノイズ混じりで爆ぜた。









『おぉっとおうう!?轟が作った氷が浮いているうう!?』








一瞬で自分の体の重力を6分の1にすると同時に、私の周囲半径4m以内の氷の重力も同様に浮かせた。











「じゃ、お先ね」








私は浮かせた氷のブロックを階段代わりにして、トトトン、と軽い足取りで空中を歩き、凍りついたスタートゲートの渋滞を飛び越えた。










少し後ろで走る轟さんを見下ろして言う。










「轟さん、キミのクラスの連中は、キミが思うより強いよ」










彼がなんとことか分からない、といったような顔をするので、スタートゲート辺りを指差す。











「甘いわ轟さん!!!」




「そう上手くはいかせねえよ半分野郎!!!」







ほら、と言って指した指の先では、凍った地面を切り抜けていくA組の面々がいた。









「クラスの連中は当然として、思ったよりよけられたな」











そう言う轟さんだけど、心なしか高ぶっているようにも見える。















ようやく、体育祭が始まった気がした。


















プリ小説オーディオドラマ