俺は会場からはなれていった。
すると、後ろから声がかけられる。
俺はその呼び掛けを無視しようとする。
黛先生は首をふるふると横に振る。
久しぶりに呼ばれた名前に俺は目を見開く。
俺の言葉に黛先生は苦笑いを浮かべた。
孤児院にいたとき。
まゆゆも一緒に親に捨てられて
一緒に過ごした時期の呼び方を戻すなんて。
そんな素直な言葉に、俺も苦笑いを浮かべる。
確かに、今俺の嘘を全てあいつらに話せば、
うまく収まるだろう。
だが、俺の気持ちは?あなたの兄の名前のお母さんは?
ぐるぐると再び思考の波に飲まれてしまう。
突拍子の無い言葉に、俺は目を見開く。
俺は後ろを振り返ったあと、
すぐに目の前へと視線を戻した。
夏の空には、白い雲が浮かび、
遠くのほうはゆらゆらと歪むほど暑い時期になった。
じめじめと蒸し暑い教室。
文化祭が終わってから、
あなたの兄の名前は学校に顔を出さなくなった。
俺らは一度あなたの兄の名前の家に訪ねてみた。
しかし、帰ってきたのは自分がピンポーンという、
押したチャイムの音だけだった。
人数の少なくなった部室。
回りを見渡してもやる気の無いやつばかり。
そこにおいてある持ち主を失ったマイクは、
動かされていないからかほこりを被っていた。
機能しなくなった風紀委員。
消え入るような声は、
誰もいない部屋にとけていった。
スクロールお疲れさまでした。
....そろそろ、終わりそうですかね?













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。