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第3話

負った傷
52
2026/03/20 02:30 更新

あなたside






あなた
…また、間違えちゃった




曇った空が私を見下ろす。




私はそっとヴィラン連合の拠点を離れた。




あなた
ごめんなさい、とむらくん





ただ、何処かへ歩き続けると共に
崩れた世界が私の視界に広がる。



誰かが落としたであろう血痕。
誰かの幸せな記憶が綿のごとく詰まっているであろう
破れ、はらわたが零れたように壊れてしまったぬいぐるみ。




瓦礫が道をふさぎ、避難所では誰もが怯え
誰もが苦しんでいる。





それは、まるで "地獄"





そんな時、何処から声が聞こえた。






麗日
彼の
麗日
ヒーローアカデミアで
麗日
いさせて下さい!!





声のするほうへと足を無意識に運び、ついた先は
泥にまみれ、雨に打たれて
行き場をなくしたであろう少年が居る、雄英高校だった。





あなた
……ごめんなさい、私
あなた
あなた達を、傷つけるつもりじゃなかったの





少年、彼は確か緑谷出久と言った。


一度だけ、見たことがあった。


優しくて、自分よりも他人を優先できる
そういう男の子だった。





あなた
私は……
あなた
私は、
あなた
……駄目だね、何を言っても言い訳でしかない







私はそう呟いて振り向き、この場を立ち去ろうとする。






















相澤
是非聞かせてもらいたいな
相澤
その……言い訳とやらを





私はこの時、初めて気づく。




嗚呼、雨が降っていたのだと。







あなたside end


相澤side






相澤
キミは、三年前から行方不明だった
夢想むそう あなたちゃんで間違いないね?





あなた
……うん


タオルを肩にかけ、苦しそうな顔で俯き
小さく肯定する女の子。



彼女は、夢想むそう あなた




約三年前から行方不明とされていた少女であり、
個性の悪用の可能性を重く考えられていた少女である。



彼女の個性のキャパシティは際限がない、ともいえるが
正確にはキャパシティが計測不可能なのだ。




どの範囲まで個性が効くのか


人から人へと伝播していくのか



全くの予想がつかないのだ。







相澤
今まで、何をしていた?
相澤
嫌なら…いいんだが…


あなた
…えっと





目を泳がせながらうつむく彼女を見て
俺はやはりこういうのには向かないのだと改めて感じる。




相澤
(矢張り、緑谷たちに頼むしかないのか…)






緑谷はこういうのが上手い。



優れた観察眼をもち、
相手の感情をくみ取ったり感じたり
共感したり…




相澤
ちょっと待っていてくれ。





俺はそう言い、席を立つ。



取調室、というのだろうか。
なんだか少し違うがこの部屋から出て
当たりを見回すと、Tシャツに着替えた緑谷がそこに立っていた。





相澤
いいのか?
休まなくて





呼びに行こうとしていた俺が言うのもなんだが、
きいてみる。




緑谷
……はい、少しあなたちゃんの事が気になって。





相澤
それじゃあ、丁度いい。
緑谷、お前が事情聴取をしてみろ








相澤side end
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