真夜中のれるの部屋で
カチカチとマウスを操作する音が響く
そんな独り言を呟いて、
れるはまたパソコンと睨めっこをする
でも現実はそう簡単やなくて、
またれるは曲を作り直す
でもれるはそんな次々と考え無しに曲を作れるほど、
天才やなくて、
一回パソコンを閉じて、スマホを取り出す
そんな言い訳を心の中で呟いて、
取り出したイヤホンをつける
昔 “アイツ“が凄いって言ってくれたこの曲
れるが作曲を初めて二個目に作った曲
“ホシクズ戦争と世界征服“
そんなタイトルをした動画をタップして、
音楽を再生する
れるは音楽だけは好きやから、
メロディーを聴くだけで安心して力が抜ける
そんなことを考えてたら、
ふと久しぶりに月を見たくなって、
カーテンを開けてみる
どうも今日は満月じゃないらしい
“十三夜“っていう未完成な月
そんな未完成なら月を見上げながら、
れるはそう呟いた
“十三夜“と“玲流“
未完成な“月“と未完成な“僕“
こんな未完成な月でも、
れるはずっと見続けてしまう
どうやられるはまだ月が好きらしい
しばらく月を見上げてなかったから
もう好きやないって思ってたけど、
そうやなかった
どんな未完成な月でも、
れるよりずっとずっと綺麗に輝いてる
そんなことを考えてたら、
れるが作った曲のメロディーが終わってて
寂しいからまた再生ボタンを押す
そんなことを呟いて、
れるはまた椅子に座ってパソコンを起動する
たとえ今は無理でも、
れるのこの曲がみんなを救えるのなら…
もしれるが、月みたいな存在になれるのなら…
そうして、もう一回メロディーを作る
れるの曲がみんなにとって、
月みたいに暖かいと思ってくれるように
月みたいに安心させれるように
自分自身のこの想いを目指して
もう何時間過ぎたんやろか
もうあれから1時間は経ったと思う
月を見たからか、少し目指したいものができたからか
少しだけ前より曲を作るのが楽しくなった気がする
スマホを取り出して、
またあの曲を再生しようとしたら
ピロンッ
なにかと開いてみると、
そこには幼馴染のアイツと
友達らしき人たちと笑顔でいる写真が投稿されていた
どうやら体育祭の練習時に撮ったらしい
自分には関係ないのに、
この写真を見てると苦しくなる
れるの幼馴染のアイツ
アイツは明るくて、人気者で…
れるにとってはその笑顔が眩し過ぎて
だけど…
そんな眩しさがれるにとっては、
めっちゃ羨ましくて、
みんなはどんどん楽しいことをしていくけれど、
れるだけ置いてけぼりな感じがして、
こんな無茶な願いをしても、
世界は止まってくれへんから
れるは諦めて一人で進むしかない
現実を見たくなくて、
れるは視線をパソコンに無理矢理逃げ込ませて
そしてヘッドホンをつけようとしたら、
コンコンッ
急にドアのノック音が響く
こんな夜中に、ましてや深夜に来るのはアイツだけ
ガチャッ
れるの返事を待たずに、
ドアは開かれた













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。