第3話

❁.
223
2019/05/15 22:16





死にたかった











別に誰かに虐められてた訳では無い










でも、生きてるのが辛かった








呼吸が、心臓の鼓動が、血の巡りが








全て嫌になった












消えたかった、という方が正解かもしれない














だけど私にそんな魔法は使えないし














せめて、空でも飛びながら死のうと思った







のに、

























.
なにしてんの......?







響いた声は、聞き覚えがあるような無いような











低くて気だるそうな声










私を見上げて手を振っている







時計の針午前2時を回った








こんな真夜中にうろつく男はろくなやつじゃない
ねえー、
シカト?



一重の切れ長な目で、ジトーっと視線を浴びさせられる












『居心地が悪すぎる____』
ちょっと待ってて、まだだからね、












そう言って、その人は消えた





























































.






_ガチャッ











マンションの屋上の、立て付けが悪いドアが開いた










足音が聞こえた、でも










振り返る気がしなかった











引き止められたら終わりだ、負けたらダメだ















人の優しさ、善意ほど怖いものは無い
ねえ、
死にたいの?
死ぬの?
あなた

......死にたいんじゃなくて、消えたい

へえ、
じゃあ、混ぜて
あなた

は?

俺も消えてみたい
あなた

馬鹿なこと言わないでよ、第一どこの誰だかも知らないのに

エイジ
エイジ、
あなた

え?

エイジ
このマンションの隣に住んでる
エイジ
これで、どこの誰だか分かったでしょ
あなた

まあ、

あなた

でも、心中なんて馬鹿らしい

エイジ
じゃあ、死のうとしないで
あなた

それは貴方には関係ない

エイジ
関係ある
エイジ
自分で自分の命を絶っても、ほんとにいいの?
あなた

......

エイジ
後悔は?もう生きたくない?
あなた

そ、そんなの、思い出してたらキリがない

エイジ
生きようよ、ちょっとでも長く
あなた

でも、

エイジ
せめて、この自殺、1週間延期してみない?
あなた

なんでそこまでして......

エイジ
君に命の大切さを教えたいから
























どこか切ない表情は、隠しきれていなかった赤い人____.

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