第15話

14 行ってきます
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2026/09/18 14:00 更新
いつもと同じように目を覚ました。




昨日まであった僕の荷物はもうほとんどない。




数人での共同の部屋なんだけど




いつもより広く見える。




今日なんだなぁ。




一緒に住むって決めてからの一週間。




長かったような、短かったような。




部屋を出てからいつも通り顔を洗った。




そして、ご飯を食べ終わった時に、




先生が話しかけてくれた。




「おはよう、翔太くん。」
翔太
おはようございます


こんな何気ない先生との会話も今日で最後。




なんか寂しい気もする。




そんなこと思っていたら




施設で遊んでくれた小さい子たちが




僕のところに集まってきた。




「今日、行くんだよね?」




「またね!」


翔太
うん。

そう返したけど、




僕に一番仲良くしてくれてた男の子が




いないことに気づいて、




辺りを見渡したら




少し離れたところにうつむきながら立っていた。




僕はその子のところへ近づいてから、




目線に合うようにしゃがんだ。

翔太
どうしたの?


「...。」




「今日で、ばいばいっ...いや」




「翔太お兄ちゃんともう遊べないのっ...」




「...また一緒に遊びたいよぉ」




その言葉を聞いて、胸がじんわり温かくなった。




こんなに僕と遊ぶことが楽しいって思ってくれて、




僕との時間、大切にしてくれてたんだ。


翔太
うん、お兄ちゃんも一緒に遊びたいな
翔太
また今度、ここに来るから


「...ほんと?」

翔太
ほんと。

「じゃあ、遊べるの?」
翔太
もちろん。そのとき一緒に遊ぼうね。

「うん!」




さっきまでの顔からぱあっと明るくなった。

翔太
約束ね


「やくそく!」




そう小さな指に僕の指を絡める。


翔太
元気でね

「翔太お兄ちゃんも!」




そう笑ってみんなのところへ戻っていく。




僕はその背中を見送った。

それから一回部屋に戻って身支度してから、




先生と玄関前でお兄さんたちが来るまで待っていた。




「...そういえば、翔太くん知ってた?」




先生がぽつりと言った。
翔太
何が、ですか?


「私ね、この仕事についてから初めに担当になった子が翔太くんなの」

翔太
...そうなんですか?


「うん。」




先生は少し恥ずかしそうに笑った。




「だから、最初は私も分からないことばかりで」




「どう声をかけたらいいのかとか、どうしたら安心してもらえるとか」




「でも、翔太くんと関わっていくうちに分かった気がする」




「今は何人か担当につかせてもらってるけどね」




「それでも、一番初めに翔太くんの担当で良かったって思ってる」




「頼りなかったかもだけど、」

翔太
僕も、先生が担当で良かったです


そう言うと一瞬先生が黙った。




「...もう。」




笑おうとした先生の目に涙が浮かんだ。




「そんなこと言われたら、泣いちゃうじゃん。」

翔太
先生、


「ごめんね。最後は笑って見送ろうって思ったんだけど」




先生は涙を拭った。




「でも...ありがとう。」


翔太
僕の方こそです。

そんな話をしていたら先生が、窓を見た。




「あっ、来たかな。」




外を見るとお兄さんの数人が車から出てきた。




「じゃあ荷物、車に乗せようか」
翔太
はい。


それから、お兄さんは施設のドアを開けて入った。

深澤辰哉
こんにちは。えっとこれが翔太くんの荷物ですか?


「はい。」




「あと、これから翔太くんのこと、お願いします。」




そう頭を下げて言った。


宮舘涼太
もちろんです。

それからお兄さん達と荷物を持って、




車に全部乗せ終わった。




いよいよ出発だなって実感が湧いてくる。
翔太
今までありがとうございました


「こちらこそ、ありがとう。」




先生の目にまた涙が浮かぶ。




「...行ってらっしゃい。翔太くん。」




先生は泣きながらも優しい笑顔で僕を見送ってくれた。

翔太
行ってきます

そう行って、お兄さん達と車へ向かった。

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