自分からやる、と言った物の少し怖い。
夏なのにジャージを着ているから皆から浮くし。

前も言ったが、生徒会様は私のクラスに全員いる。

…あーあ、やだな。
気使って喋りかけなくてもいいのに。

陰口。
コソコソ言ってるのかもだけど全部聞こえてるよ。どうせ言うなら堂々と言えばいいのにね。

これもまた生徒会の竿田紗尾（さおだしゃお）。

皆からキャーキャ言われてる。
ただ声出して体操してるだけなのに。

人が違うだけで、こんなに対応が変わるって人もおかしいよね。

…あーあ、めんどくさい。
腕に傷があるから隠してるのに。

マスクを外しポケットにぐしゃっと入れ込む。
そしてジャージを脱いで端っこに投げ捨てる。

なるべく傷が目立たないように傷の箇所を手で隠す。

うわ、1番面倒臭いのに来ちゃった。

昔は走るの得意だったんだけどなあ

…あの生徒会様が私の名前忘れてるってうけるよね。

でも比較的竿田さんは贔屓とかないからたすかる、全員こうだったらいいのに

皆が一斉にだっと走り出す。
MOBくん、頑張れー！きゃー！！ゾムくーん！
頑張ってーー！

とかって声援が聞こえるのに私に言ってるのだけ1個もない。フニンキは辛いね。

友達の1人でも居ればちょっとは違ってるかな。

なんて思いつつも頑張って走る。
流石に鳥居さんには勝てなかったけどMOBには勝った。

割とまだ運動できるんだなあ、って私に関心しちゃった。

走った人同士で褒めあってる。
私には話しかけもしないけど。

こっちがずっとジーッと見つめてるから気を使ってなんか言ってくれたみたい。

ちょっと嫌味にも聞こえるけど。

あーあ、うざっちぃ。
めんどくさい、めんどくさい。

うわ…
顔に自信ある、とは言ったけど人に見せられるもんじゃない。

あくまでも、下の上みたいな。

そしてらさ、私がポケットからクリップを出し
前髪を止める。

きっと、自分が頼んだんだから少しは褒めなきゃ失礼とでも思ったのだろう。

ただのお世辞だって、バレバレだから。
そう思いながら、クリップを外し再びポケットにしまった。