「満月の夜、奇麗な宝を頂きに参上します__怪盗キッド」
突然中森警部に届いた予告状…だが、一体何の宝が盗まれるのか不明で何処に現れるのかもわからない。
そこで周辺の美術館を全て厳重警戒すると
ニュースで発表された。
予報では満月の夜は今日。
今は午後7時過ぎ…美術館は完全に閉鎖され警察の警備も強化されている。既に月は満月に輝いていてそろそろ犯行してもおかしくない…
私はベランダで周囲の様子を眺めながら溜息を付いた。
・
ドンッ!!
何かがぶつかるような音が聞こえ 焦りながら外を眺めていると…
キッドは私の口を軽く抑えると
微笑み…
どうやら一度何処かで会った事があるらしい…
私は記憶にないけれど…
キッドは私に手を差し伸べる
ベランダの私をどうやって連れていくのだろうか
そしてキッドは私の手を掴むと
ハンググライダーで空へと飛び立つ。
そして警察の目にも止まらず
静まった空中を飛び続ける
私に聞こえないような声量でキッドは呟いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!