第4話

松葉杖
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2026/01/20 10:55 更新
あれから、大森二等兵は松葉杖をつきながら患者の処置を手伝ってくれる




中尉や少尉たちには僕から話を通した



人手不足だから、戦地に戻れないほどの大怪我をした者は、ここで雇うことにする。と。




中尉も少尉も納得してくれた



彼らも人手不足に悩まされていたから



大森二等兵は周りとも打ち解けるのが早く、仕事覚えがいい



そして誰より若いので、周りからも可愛がられている
 


患者の前以外では皆、大森二等兵のことを名前で呼んでいるほどだ。



まぁ、僕も例外ではないけど。
💛
元貴!足の調子はどう?
❤️
藤澤大尉!
だいぶ楽になってきました
本当にありがとうございます
💛
そっか、良かった
💛
ここは?慣れた?
❤️
まだ慣れません…
血まみれの仲間を見ると時々震えが止まらなくなるんです
❤️
戦地で敵も味方も、たくさんの死体を見てきたのに…
情けないです
💛
それでいいんだよ…
それが正常な反応だ
💛
僕ら医師は、もう何回も味方を失ってきた
その過程で、もう仲間を失う恐怖が薄れてしまったんだ
💛
これは異常なことだよ
元貴はまだ若い
💛
生きて帰った時、その感性は大切になる
だから、その感性を忘れないようにね
❤️
はい…
💛
フフッ固いなぁ
敬語やめない?
僕のこと、皆は裏で涼ちゃんって呼んでるしタメ口だよ?
💛
元貴ももっとゆる〜くでいいんだよ
僕なんて偶然大尉に慣れただけの人間なんだから
❤️
そんな!
藤澤大尉は素晴らしい人です
僕なんて、藤澤大尉に助けていただけなければどうなっていたか…
💛
もう!いいってば!
僕だって救えない命もたくさんあるよ…
医者は神様にはなれないからね
💛
尊敬なんてされないほうがいいんだ
僕だってホントは適当な人なんだよ?
患者さんの前では「私」とか、「〇〇中尉」とか固い呼び方してるけどさ、本当はそんな固っ苦しいことやりたくないんだよね〜
💛
やっぱりさ、素の自分が出せる時間は必要だよ?
❤️
…。わかった
ありがとう、涼ちゃん!
💛
うん!どういたしまして!

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