第2話

第一話
32
2026/01/11 13:15 更新
Noside.






春の朝の校舎は、いつもより少しだけ騒がしかった。

新学期。

それだけで、人の気持ちは勝手にざわつく。

生徒会室のドアを開けたのは、りうらだった。
りうら
りうら
、、、、、おはようございます
高1にして生徒会役員。

それだけで十分目立つ立場なのに、彼はできるだけ目立たないように過ごしている。
ないこ
ないこ
おはよ、りうら!
声をかけたのは、兄のないこ。

高3、生徒会長。

堂々としていて、誰の目にも“中心”だと分かる存在。
いふ
いふ
今日から本格始動だな、生徒会
副会長のいふが書類をまとめながら言う。

悠佑は窓際で腕を組み、外を眺めていた。



そこに、もう一人。
(なまえ)
あなた
おはよう
あなたが入ってきた瞬間、室内の空気が少し変わった。

同じ高1、生徒会役員。

落ち着いた表情と、どこか距離を保つような雰囲気。

りうらは、彼女と目が合いそうになるたび、視線を逸らしてしまう。
りうら
りうら
(別に、特別な意味なんて……)
そう思おうとするのに、心は言うことを聞かない。
ないこ
ないこ
今日の議題確認するぞ
ないこの声で会議が始まる。

高2のほとけと初兎——双子は並んで座り、同時に頷いた。
ほとけ
ほとけ
ファンクラブからの要望書も増えてるね
初兎
初兎
まぁ、生徒会メンバー多いしな
“ファンクラブ”。

モブ生徒たちが作った、半ば公認の集まり。

憧れ、尊敬、好意——理由はそれぞれ。

会議が進む中、りうらはあなたの横顔を盗み見る。

真剣にメモを取り、時々意見を出す。

その姿が、不思議と目に焼き付いて離れなかった。

休憩時間。

人の少ない廊下で、りうらは一人立ち止まる。
りうら
りうら
……人なんてさ
ふと、口から零れた。
りうら
りうら
意味をつけたがる生き物なんだよな
誰かと話す理由。

隣にいる理由。

視線を向ける理由。

全部、後から“意味”にしてしまう。
(なまえ)
あなた
りうらさん?
振り返るとあなたが立っていた
(なまえ)
あなた
さっきの意見、助かりました
りうら
りうら
……いえ
短い会話。

それだけなのに、胸の奥が少しだけ熱くなる。
(なまえ)
あなた
これから、よろしくお願いしますね
その一言に、りうらは小さく頷いた。
りうら
りうら
(もし、この気持ちに名前をつけるなら)
まだ分からない。

でもきっと、いつか——。

春風が、校舎を通り抜けていった。

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