Noside.
春の朝の校舎は、いつもより少しだけ騒がしかった。
新学期。
それだけで、人の気持ちは勝手にざわつく。
生徒会室のドアを開けたのは、りうらだった。
高1にして生徒会役員。
それだけで十分目立つ立場なのに、彼はできるだけ目立たないように過ごしている。
声をかけたのは、兄のないこ。
高3、生徒会長。
堂々としていて、誰の目にも“中心”だと分かる存在。
副会長のいふが書類をまとめながら言う。
悠佑は窓際で腕を組み、外を眺めていた。
そこに、もう一人。
あなたが入ってきた瞬間、室内の空気が少し変わった。
同じ高1、生徒会役員。
落ち着いた表情と、どこか距離を保つような雰囲気。
りうらは、彼女と目が合いそうになるたび、視線を逸らしてしまう。
そう思おうとするのに、心は言うことを聞かない。
ないこの声で会議が始まる。
高2のほとけと初兎——双子は並んで座り、同時に頷いた。
“ファンクラブ”。
モブ生徒たちが作った、半ば公認の集まり。
憧れ、尊敬、好意——理由はそれぞれ。
会議が進む中、りうらはあなたの横顔を盗み見る。
真剣にメモを取り、時々意見を出す。
その姿が、不思議と目に焼き付いて離れなかった。
休憩時間。
人の少ない廊下で、りうらは一人立ち止まる。
ふと、口から零れた。
誰かと話す理由。
隣にいる理由。
視線を向ける理由。
全部、後から“意味”にしてしまう。
振り返るとあなたが立っていた
短い会話。
それだけなのに、胸の奥が少しだけ熱くなる。
その一言に、りうらは小さく頷いた。
まだ分からない。
でもきっと、いつか——。
春風が、校舎を通り抜けていった。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。