あれから何か月。
夏休みが終わり、本格的に受験勉強が始まった。
けど、魔法少女としての生活は終わらない。
最近では1つの休憩として依頼をこなすようになった。
依頼を見て、達成して、回復。
この繰り返しだ。
たまに他の魔法少女と一緒に達成する依頼があった。
後輩ができたと知った。
胸が痛くなった。
彼女もいずれあの苦痛を味わうのだろう。
何日後か、何か月後か、もしかしたら何年も先の話かもしれない。
わたしから伝えるのは良くないと思った。
だから、わたしは彼女に『魔法少女』を教えなかった。
正解だと思っている。
彼女が地獄を知るのは、まだまだ先の話であってほしかったから。
――魔法少女が怖い。
それは、今でも変わらない。
それでも、わたしたちは戦い続ける。
命を守るために。
明日も生きられるように。
わたしは今日も、あの人形に触れる。
どう言葉で表せばいいのか分からない。
円形の闘技場だった。
でも、闘技場には似合わないほど、人々の話声が聞こえる。
闘技場。
昔は人々の娯楽アイテムで、だれかが猛獣と戦っていたんだった気がする。
もしかして……。
ネウラは1枚の紙を出した。
依頼は――。
今にも逃げ出したくなる内容だった。
【今回の依頼】
バトルロイヤルの参加
<報酬>
魔力瓶×100
<詳細?>
目の前に闘技場が見えますでしょうか? この中で、バトルロイヤルを開催いたします。
優勝賞品は魔力瓶100個。すばらしいと思いませんか? ちなみに、逃げることはできません。
魔法少女は、依頼を達成しなければ元の世界に戻れませんから。
生き残るには勝つしかありません。
さて、ゲームのルールを説明します。
ゲームには総勢100組の魔法少女がいらっしゃいます。
その中で、25組が対戦を行い、生き残った者が決勝進出です。
決勝に進出した者で対戦を行い、生き残った1組に報酬を与えます。
では、連れの人形にカラーを教えてもらってください。
赤は、この後すぐ。
青は、この後すぐに待機室へ。
黄は、赤の試合が終わり次第、待機室。
緑は、青の試合が終わり次第、待機室。
へと移動をお願いします。
場所の案内は連れの人形に知らせておきますので、お構いなく。
戦闘だ。
もしかして、魔法少女同士で。
海華の声は低く、怒りに満ちていた。
ネウラは答える。
黄色、と。
ネウラは簡単に言ってのけた。
わたしは海華の目を見る。
わかってるよ、と言っている気がした。
ネウラの死はわたしたちの死も意味している。
たぶん、逆も同じだ。
わたしたちとネウラはつながっている。
絶対に死んだり、見殺しにしたりしてはいけない。
わたしたちの間には、そんな空気が流れていた。
約半数の人たちがぞろぞろと中に入っていく。
赤か、青だった人たちだろう。
何もわからないまま、ただひたすらに待ち続けた。
そして、連絡が来た。
人形の中にはなにかが入っているのだろうか。ただひたすらに待ち続けたわたしたちに急に連絡が来た。
わたしたちは他の人たちと一緒に闘技場へと入る。
審判はそこで一度、話を止めた。
青チームの参加者は25人。闘技場は大きく、25人が入るには広いが、動き回るとなるととても狭い空間だった。
わたしたちは闘技場の観戦席で待機している。
楽しむことはできなかった。
一気に歓声が上がった。
ネウラは楽しそうに話す。
海華は特大なため息をついた。
わたしは苦笑いを浮かべ、青チームの闘いを見る。
嘘。
あの人もいるんだ。
あの、大きな刀を持ち、チアガールの服装をした、リスのぬいぐるみと一緒にいる女の子。
――スクオールちゃんが。
彼女は、うつろな目で、何も感じていない目で。
大量にぬいぐるみを消し去っていた。
彼女も知っていたのだ。魔法少女のすべてを。
よくよく考えれば、このコロシアム、わたしたちが有利だ。
あの事実を知っているから。
それは、スクオールちゃんも同じだった。
もしかしたら、死刑囚になった女の子が炎で焼き尽くされたような死に方をした理由に気づいたからなのかもしれない。
スクオールちゃんは死んだ目でぬいぐるみを切り落とす。
その瞬間、他の魔法少女は何も分からないまま死んでいく。
彼女は残虐な殺人犯と化していた。
ただそれを世間は許し、楽しんでいた。
勝ったのはスクオールちゃん。
当たり前だ。
これで、もし勝ったら彼女と闘うことが決まった。
胸が詰まる。
嬉しいのか、悲しいのか、わからない。
またもや、大きな歓声が上がる。
わたしたちは移動を促された。
わたしもうなずいた。
地獄のコロシアムが始まる。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。